いちゃいちゃ大好き提督日常   作:ぶちぶち

10 / 322
真面目な思いです

 はっと気がついたように、彼の意識が外界に戻ってきた。

 思考の早さは相変わらずだけど、こんな色事に使っているのは面白い。

 散った彼女が今の彼を見れば、嬉しそうに微笑むんだろうな。

 

 うん。それを忘れずに、こんなにも日常を楽しんでいくんだ。

「どうした?」

 それを聞きたいのは私の方だよ。心が読めないような繋がりだけだったら、今にも決戦かと覚悟していたね。

 

 いや。ある意味ではお互いにとって決戦かな。

「難しい顔をして考え込んでいるけど、何か問題でもあったのかい?」

「いや。今日の仕事は既に完了している。不備なく、不足もない」

 それはそうだろうさ。何だったら、半年先の計画まで終わっている。

 

 後は結果を書類にまとめて、大本営に提出するだけ。徹底的に、効率的に。ちょっと狂っているよね。能力の高さもあるけど、執念がすごい。

「そいつは良かった」

 それでもさ。彼が死線から解放された証なら、私も嬉しい。本当に嬉しい。

 

 もっと私に甘えてくれても良いのに。雷じゃないけどさ。

『響。もう疲れたよ』

 そういって俯く彼を抱きしめたい。胸で泣かせたい。再起しても良い。落ちきっても良いさ。どちらも愛おしい。

 

 そうすれば、昔の仲間達もここにいられる。戦えなくなった彼を守る為に、我を通していられるんだ。

 そんな逃げを許せない性格なのは知っている。損な性格だよ。

「ならどうして、考え込んでいるのかな」

 

 言えるわけがないよね。だから聞いたんだ。

 予想通り、仄かに赤面している。可愛い。好きだ。

「私には話せない内容?」

 こう言えば、そうやって提督の仮面が緩む。

 

 知っているよ。創をいっぱい知っている。好き。

「難しい問題だ」

「…そう。まだ私は、貴方に信頼されていないんだね」

 

「それは違う!」

 真っ直ぐに見開かれた瞳。射貫くように、真っ直ぐに。惚れ惚れする。

 本当に愛されてるなあ。ふふふ。

「ふふ。冗談だよ」

 

 彼が息を吐いた。緊張が解けた様子も愛らしくて、堪らない気持ちにしてもらえる。

 いっそスカートを脱いで迫ってみようか。ダメだ。彼を傷つけたくないし。その。

 怖いもん。いや。艶本で色々調べたけど。調べたからこそ。怖いよ。うん。困った。

「からかってくれるな」

 

 無理だよ。絶対に無理。愛している人の顔は、色々な方法で見たいだろう? 

 暁をからかうのに似ている。大事な時にはとても頼りになる相手。それも合わさって、普段はからかいたくなるんだ。

「私と君の仲じゃないか」

 

 今は一方通行だけど、心すら読めるほど深い関係。

 とっても落ち着く。いるのが当たり前。いつか訪れる死すら受け入れあって。

 ――大切な人。

 そんな仲も良いのだけど、出来れば私のスカートの中を見せたいなって。


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。