純粋に村雨と楽しもう。むしろ村雨を楽しみたい。なんかエロいな。落ち着こう。
対面に座って、コーヒーを一口飲んだ。上手い。俺が手をつけたのを確認して、彼女も食べ始める。
「甘~い!」
嬉しそうな声。目を瞑って、味わいながら食べている。可愛らしい反応だ。
作った甲斐がある。良い。ニコニコと楽しそうに食べる様子を見ると、自然と笑みが零れた。
「ふふふ」
声まで出てしまった。村雨がじっと見ている。警戒したネコみたいだ。
猫耳村雨もありありだ。ちょう見たい。今の俺が提案したら…確実に拒絶されるな。
最悪は怯えながらの了承だ。俺がネコミミ変態野郎と呼ばれてしまう。興奮はするが、ガチ切れされたら嫌な子達が増えすぎた。
嫌われた状態での罵倒は良いけど、好かれてる相手から嫌われるのはなあ。ちょっと困る。どちらにせよ興奮はするからやばいね。変態であった。
「提督って、笑えるんだね」
すごい発言だな、おい。俺だって心はあるんだぞ。
等と凄んで見たとしよう。確実に泣かれる。想定通りになってしまう。
ここはお茶目に対応しようか。
「こんな顔も出来るぞ」
変顔をしてみれば。
「ぶふっ! ご、ごほごほっ!」
吹き出してむせ込んでいた。勝った。何の勝負だろうか。はっはっは!
「げほっ、あ、ぅう。ごほ」
完全に気管がやられていた。申し訳なさそうな顔をして、涙目になっている。
やりすぎた。せっかくケーキを楽しんでいたのに、悪いことをしてしまった。
「だ、大丈夫か?」
彼女の背中を優しくさする。セクハラと怒りもせず。静かに受け入れてくれた。
「ごめん、なさ」
今にも泣き出しそうな謝罪だった。本当にやりすぎてしまったか。
落ち着くまで背中をさすって、自然な流れで言葉を紡ぐ。
「気にする必要はない。ほら、コーヒーを飲むんだ」
彼女のはミルクも混ぜている。仄かに甘めの良い豆だけど、なんとなく苦いのは苦手そうだったからだ。
啜りもなく。音もなく綺麗に一口飲んだ。
「…良い香りね」
ほっと一息ついて、穏やかに緊張を緩めてくれた。
全然狙い通りなどではないが、彼女の緊張はマシになったらしい。良かった。
「淹れるの得意なの?」
いれる……いれる。うん。卑猥な意味は一切ない。どうした俺の思考。
いれてからも得意だぞ。と見栄を張る必要は無い。そういう意味じゃない。落ち着け。
ちょっと暴走しているぞ。うんうん。気まずい空気から逃げたくて、下ネタに走り始めているぜ。駄目だ。仲良くなりたいし、落ち着いて対応しよう。
「お菓子と飲み物はセットに考えているんだ。自然と両方の腕が上がったのさ」
「なるほど」