そんなこんなで歩き続ければ、開けた場所にたどりついた。
綺麗に整えられた草原。美しい草原だ。中央に一本だけ樹が生えている。木陰が涼やかで、過ごしやすい憩いの場としてあるのだろう。
はっと目を奪われる。自然の美がここにはあった。
癒やされる~! はああ。心癒やされるぜ。白露の膝枕に匹敵するね。魂が浄化冴えるレベル。
「綺麗だな」
「ふふふ。私の一番好きな場所」
にこりと村雨が笑った。俺の様子を見て、嬉しそうにしてくれたんだ。
なんだこれ。可愛すぎるだろ。ああやばいやばい。もう本当萌えキュンです。
仄かに潤んだ瞳が良い。優しい微笑みも良い。妹属性と思っていたが、村雨もお姉ちゃんな感じであった。ふふふ。また一つ、彼女の良さを知った。
「少し休もうよ」
「ああ」
心地良い日差しを浴びながら、適当に腰を下ろす。隣合って座っていると、妙に仲良くなった気分だ。
実際、彼女の表情も強張ってない。ようやく恐怖がなくなったらしい。
「良い天気。お弁当持ってくれば良かったね」
「ただのんびりするのも悪くない」
「ん。そうだね」
風が頬を撫でる。彼女のツインテールがなびいた。香りが届く。村雨の匂い。
それだけじゃない。
緑の香り。露を感じる静かな雰囲気。空を見上がれば、太陽が見守ってくれていた。
暖かい。今日は日向ぼっこびより。もうすぐに夏が来る。暑い夏。
プールとかも良い。海も最高だ。最前線に悪い気もするけど。この時代、海遊びほどの贅沢も早々ない。スイカ割りも楽しそう。ビーチバレーなんて最高だ。
花火も見てみたい。線香花火。打ち上げはさすがに難しいか。
のんびりと夏を満喫すれば、次は秋。そうして冬。明けての春が訪れる。
四季豊かで色彩豊かな国。深海棲艦共を殲滅し尽くせば、この平和な日常がどこでも過ごせるのだろうな。
目処もなく。そもそも、今の俺に出来るのは後方勤務位。
いちゃこら楽しませてもらっている。ありがたい限りだった。
「昼餉と言えば、だが。軍用食ならあるがどうする?」
懐から乾パン入りの缶を出した。いちごとブルーベリーのジャム付きだ。
実は飲み物も懐に隠してあったり。水という武骨なチョイスだがね。備えあれば憂いなし。うむ。我ながら戦場を警戒しすぎかもしれない。
艦娘が愛用する戦闘糧食とは雰囲気が違うが、これもまあ軍隊の食事だ。
あまりこういう雰囲気には合わないけども。
「ふふふ。のんびり原っぱで食べると、不思議と美味しそう。良い感じね」
ニコニコと笑いながら言ってくれた。この程度の用意で喜んでくれるなら、もっと頑張りたくなるぜ。次はクッキーとジュースでも入れておこう。
「お気に召したなら良かった」
さて。手を合わせて。
「「いただきます」」
お互いにジャムをつけて一口食べてみるが。
「…美味しそうだったけど、えっと」
「正直に言えば不味いな」
口の中がぱさつく。水がなければ辛かったな。用意しておいて良かった。
「ちょっと残念な感じ」
「うむ」
もそもそと二人で食べ進める。珍妙な光景であった。