いちゃいちゃ大好き提督日常   作:ぶちぶち

112 / 322
武骨な昼食です

 そんなこんなで歩き続ければ、開けた場所にたどりついた。

 綺麗に整えられた草原。美しい草原だ。中央に一本だけ樹が生えている。木陰が涼やかで、過ごしやすい憩いの場としてあるのだろう。

 

 はっと目を奪われる。自然の美がここにはあった。

 癒やされる~! はああ。心癒やされるぜ。白露の膝枕に匹敵するね。魂が浄化冴えるレベル。

 

「綺麗だな」

「ふふふ。私の一番好きな場所」

 にこりと村雨が笑った。俺の様子を見て、嬉しそうにしてくれたんだ。

 なんだこれ。可愛すぎるだろ。ああやばいやばい。もう本当萌えキュンです。

 

 仄かに潤んだ瞳が良い。優しい微笑みも良い。妹属性と思っていたが、村雨もお姉ちゃんな感じであった。ふふふ。また一つ、彼女の良さを知った。

「少し休もうよ」

「ああ」

 

 心地良い日差しを浴びながら、適当に腰を下ろす。隣合って座っていると、妙に仲良くなった気分だ。

 実際、彼女の表情も強張ってない。ようやく恐怖がなくなったらしい。

 

「良い天気。お弁当持ってくれば良かったね」

「ただのんびりするのも悪くない」

「ん。そうだね」

 風が頬を撫でる。彼女のツインテールがなびいた。香りが届く。村雨の匂い。

 

 それだけじゃない。

 緑の香り。露を感じる静かな雰囲気。空を見上がれば、太陽が見守ってくれていた。

 暖かい。今日は日向ぼっこびより。もうすぐに夏が来る。暑い夏。

 

 プールとかも良い。海も最高だ。最前線に悪い気もするけど。この時代、海遊びほどの贅沢も早々ない。スイカ割りも楽しそう。ビーチバレーなんて最高だ。

 花火も見てみたい。線香花火。打ち上げはさすがに難しいか。

 

 のんびりと夏を満喫すれば、次は秋。そうして冬。明けての春が訪れる。

 四季豊かで色彩豊かな国。深海棲艦共を殲滅し尽くせば、この平和な日常がどこでも過ごせるのだろうな。

 

 目処もなく。そもそも、今の俺に出来るのは後方勤務位。

 いちゃこら楽しませてもらっている。ありがたい限りだった。

「昼餉と言えば、だが。軍用食ならあるがどうする?」

 

 懐から乾パン入りの缶を出した。いちごとブルーベリーのジャム付きだ。

 実は飲み物も懐に隠してあったり。水という武骨なチョイスだがね。備えあれば憂いなし。うむ。我ながら戦場を警戒しすぎかもしれない。

 

 艦娘が愛用する戦闘糧食とは雰囲気が違うが、これもまあ軍隊の食事だ。

 あまりこういう雰囲気には合わないけども。

「ふふふ。のんびり原っぱで食べると、不思議と美味しそう。良い感じね」

 

 ニコニコと笑いながら言ってくれた。この程度の用意で喜んでくれるなら、もっと頑張りたくなるぜ。次はクッキーとジュースでも入れておこう。

「お気に召したなら良かった」

 

 さて。手を合わせて。

「「いただきます」」

 お互いにジャムをつけて一口食べてみるが。

 

「…美味しそうだったけど、えっと」

「正直に言えば不味いな」

 口の中がぱさつく。水がなければ辛かったな。用意しておいて良かった。

 

「ちょっと残念な感じ」

「うむ」

 もそもそと二人で食べ進める。珍妙な光景であった。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。