何をするでもなく。ただ二人で時間を過ごしていく。
草原の香りが心地良い。このままずっといたら、融けてしまいそうな位緩んでいる。
良い場所だ。彼女が大切に思っているのも、よく分かる。
「そういえばだけど。他二人はさ、どうやって過ごしてたのかな?」
ふむ。当然だが、二人から詳しく話もしないか。
今更恐れられているとは思わないけど、日常エピソードを紹介して、更に打ち解け合おうじゃないか。
「白露には膝枕をしてもらって」
「ひ、膝枕」
顔が真っ赤に染まった。萌える。ふふふ。ぐふふ。ふう。落ち着いた。
「時雨は…言っても良いんだろうか」
あえてじらしてみると。
「言っちゃ駄目な事をしたの!? し、時雨ちゃんを傷つけたら許さないから!」
更に顔を赤く染めて、彼女が愛らしく怒ってきた。本当に可愛い。ふふ。
からかい甲斐のある奴だ。リアクションが大きい。そんな所は白露にそっくりだ。下ネタへの包容力がないので、ある意味彼女よりからかうのが面白い。
これが白露相手だったらなあ。適当にあしらわれそう。
「大好きな時雨姉さんなんだな」
「う、うん」
はにかんだ笑み。姉妹仲睦まじくて何よりである。
「二人きりだと姉さんって甘えてる。迷惑とか言ってなかった?」
「可愛くて仕方がないと言っていたぞ。抱きしめられたのだろう」
むしろ彼女の方が、自分を迷惑と思っていないかなんて。
うむ。そっくり姉妹。意外と見た目は違うのだけど、中身が似ている。
白露型共通の在り方なんだろうか? 分からないが嫌いではない。というか好き。いっぱいちゅき。
「えへへ。まあね」
嬉しそうに笑ってまあ。時雨にも見せてやりたい。ああでも、そんな場面だと俺が蚊帳の外になってしまう。放置プレイは嫌いじゃないが、もっと仲良くなってからにしたい。
いかん。どうしても下ネタに走ってしまう。何故だろう。響がいないからかな。
心の欲を持て余している。なんとも気恥ずかしい。
「ちょっと気恥ずかしかったけど、とっても嬉しかったよ」
思わぬ所で似たような心境になっていた。特に嬉しくもない偶然であった。
「で、提督」
一転。とっても真剣な表情で俺を見つめている。仄かに責めるような眼差しは、素直に愛おしい。初対面時の緊張はどこへやら。
こうやって可愛い反応をしてくれる位、気を許してくれている。
もっとからかいたいけど、泣かれても困る。真面目に応えようか。
「時雨には言うなよ」
「もちろん!」
とっても嬉しそうな笑い顔。愛らしく微笑ましい。
時雨お姉ちゃんの甘え姿なんて、刺激的かもしれないが。さて。