時雨の想い。どれだけ日常を重んじているか、君達を愛しているのかを伝えた。
あの甘えぶりまで語りきる。最初は感動して泣きかけていたけど、赤面して俯いてしまった。
なんだか妙な雰囲気の状態である。萌えるね。
「…そっか。時雨姉さんは守りたがりだからなあ」
ぽつりと言葉が零れた。空気が照れくさいので、ちょっとからかってみよう。
「余計なお節介かね?」
我ながらアレな皮肉だ。いやらしい言葉である。
「いやいや! もうっ、意地悪な言い方」
ぷりぷりと怒っている。これに萌えているんだから、本当に我ながら業が深いぜ。
でもしょうがないね。怒っている姿も可愛いから。うんうん。嫌われない程度にしよう。
個人的には、ガチの軽蔑も嫌いじゃない。――いや、好きだ。
『…もう知らないんだから』
ああダメダメ。相手が悲しんでいる系の怒りは駄目だ。
もっと冷たい感じでって、妄想に浸っている場合じゃない。
じ~っと彼女が見つめている。可愛い。言葉を返そう。
「ふっ。すまない」
格好つけて謝罪してみた。
「むう。なにそのドヤ顔は」
狙い通り、まだ仄かに怒っている。
このやり取りが面白い。ちゃんと怒ってくれるのが嬉しい。マゾヒズムとかじゃなくて。純粋に、彼女との距離が近づいたのが良い。
マゾヒズムとかじゃなくて。本当だよ。俺は嘘はつかない。これが何度目の嘘だったかな。ゴミ山に出荷されそうな言葉だ。
ふふふ。からかい過ぎただろうか?
「ちょっと良くない感じ。直さないと怒るんだから」
良かった。愛らしくも微笑んでいる。柔らかいやり取りで終わった。
相手を傷つけたくはないんだ。いや別に傷つきたいわけでもない。
なんだろう。色んな表情を見たくて意地悪とか、小学生なのだろうかね。似たようなレベルか。そうだな。
股間は大人だがね!! ……俺は何を考えているのだろう。
「善処しよう」
春の陽気が悪い。眠たいし、変態力が活性化されている。気がする。
春に失礼か。別に俺は冬でも変態だ。冬でも響のパンツを被りたい。暖を取りたい。
さて。のんびりと二人で時間を過ごしていれば、沈黙の時間が訪れる。
気まずくはない。話題を探さなければならない緊張は、もう感じていない。
良い雰囲気だ。ふふ。白露の言う通り、ここまでは順調にいっているぜ。
「…提督は」
静かに紡がれた言葉。平穏なのを壊さない優しい声。
「うん?」
俺の返答も妙に柔らかくなった。わりと眠かったり。どうしたのだろう。
「村雨とはどうしたいの?」
なにそのやらしい言葉。ああ、だめだめえっちすぎます。
「お、おう」
間抜けな言葉が零れた。どうしたものだろうかね?