いちゃいちゃ大好き提督日常   作:ぶちぶち

125 / 322
のんびりお散歩日和です

 提督と二人。いつものお気に入りの散歩コースを進む。

 整えられた並木道。美しい森林をきれいな土道が通って、このまま進むと草原にたどりつく。

 

 妖精さん達ががんばってくれた場所。少しでも、ここで過ごす皆の為にと。

 自然を強く感じるこの場所が好き。提督も気に入ってくれたかな?

「きゃっ! か、風が強いですね」

 

 強く吹いた風に髪が流れた。…スカートの中とか見えてないかな。ううん。見えそうだったら、提督から目を逸らしてるよね。エッチな人じゃない。

 それにしても、とっても良い風だった。ちょっと良い気分。

 

 こんな自然の空気も好ましい。緑の香りが良いの。

「風は嫌いじゃないな」

 目を細めて静かに微笑んでた。私と同じで、提督も自然が好きなのかな。

 

 良かった。これなら草原での時間も楽しめそう。ゆっくりしたい。それが私らしさ。私が好きな時間の過ごし方。

「ふふふ。涼しくて心地良いね」

 のんびり穏やかに流れる時間は、胸をくすぐる良さがあるの。

 

 

 そうして、二人きりで並木道を進んでく。

 緑が風に流れる音。青空の澄んだ雰囲気。仄かに差し込むお日様が心地良い。

 良い天気。お洗濯が捗るような。干したばかりのお布団はとっても良い。お昼寝も悪くないね。のんびり時間が素晴らしい。

 

 過ごしやすい一日だ。こんな日は散歩に限る。急な思いつきだったけど、我ながらいい感じの提案だった。

「ふふ~ふーん♪」

 楽しい気分をそのままに、鼻歌に乗せてみた。

 

 …ちょっと恥ずかしい。バカだと思われてないかな。

「楽しいか?」

 愛おしそうに笑ってくれた。嬉しいな。ふふふ。ちょっとずつ、本当にちょっとずつ近づいてるんだ。とっても良い気持ち。

 

 くるくると回りたい気分。もっと知ってほしい気持ち。

「私、こういうのが好きなんです」

 何でもない今日が好き。何でもなくないって、強く実感してるから好き。

 

 いや。深い意味じゃなくても、戦争なんか関係なくても。

 こうして過ごす時間の尊さ。確率とかの、難しい話は大げさだけど。

 絶対に取り戻せないんだ。今という時間はいつだってかけがえがなく。

 

「誰もが忘れるような、通り過ぎる想いが好きです」

 暖かい晴天。通り雨も美しく。…雨。雨の名前なんて素敵じゃない?

 きっと、美しい想いを込めて紡がれた名前。私の誇り。そう在りたいと、駆逐艦・村雨で在りたいと願ってる。

 

 ふふふ。なのに日常を愛してる。臆病者だけどね。

 でも、今は不思議と悪くない気分。隣で微笑んでくれてる人のおかげかな。

 あれだけ怖かったのに、徐々にでも良くなってる。ふふふ。良い気持ち。


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。