いちゃいちゃ大好き提督日常   作:ぶちぶち

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落ち着いてきました

 照れちゃってる。立ち止まってもいられない。

「歩こうよ、ね?」

「うむ」

 おずおずと出した言葉に従って、二人で再び歩き始めた

 

 

 提督と手を繋ぎながら歩いてく。さっきより、もっとゆっくりとしたペースで歩く。

 風が穏やかに頬を撫でる。涼しい反面、繋いだ手の熱と顔の火照りがよく分かる。

 歩くペースも深い気づかいを感じて、嬉しくてしかたない。

 

「早足じゃないか?」

 それでもこうして気遣ってくれた。紳士的でとっても良い感じ。

 妙に慣れた気づかい。やっぱり、普段は響とかと仲良くしてるんだろうね。

 

 …そう考えると、この状況って響は嫌なのかな。むう。難しい問題だ。

 まあ、今の私が二人を気遣ってもしょうがないや。私は私らしく接しよう。

「辛ければ教えてほしい」

 

 優しい言葉。暖かい声色。こうしてると、エスコートされてるみたい。

 実際は私が目的地に歩いてるんだけど、気分的にはお嬢様な感じ。ふふ。

「ううん。気遣ってくれてありがと」

 

 暖かな気づかいがうれしい。…だからこそ、乙女として気になる所もあったり。

「提督の方こそ、手汗とか、その。大丈夫?」

 彼の手のひらは冷たい。汗も全く感じない。多分だけど、火傷で汗腺が壊れてるんだと思う。

 

 逆に私の手の温度が伝わってる。私から、体温が伝わってる。

 汗とか大丈夫? 気持ち悪くないかな。…私は、提督のひんやりとした手は好き。大きくて、心地良い手ね。

 

「大丈夫だ」

 言い切って、嬉しそうに微笑んでくれた。

 なんだか表情が柔らかい。提督も手を繋げて嬉しいのかな? もしかしてこの感じが、白露姉さんがすけべって思った部分?

 

 なんだか可愛らしいような、私も似た所があるような。

 何にせよ、手繋ぎが嬉しいのは私もいっしょ。同じ気持ちで良い感じ! 

「今日は良い天気ね」

 

 こんな世間話を切り出せるなんて、ちょっと感動してる。

 応じて、特に深い感情を見せずに彼は語る。

「心地良く過ごしやすい日だ。嫌いじゃない」

 自然が好きなのは本当みたい。夕立風に言うなら。

 

『提督さん、自然が大好きっぽい!』

 ふふ。何となくだけど、この感じの提督って夕立に似てる。

 どこか無邪気で、誰かの笑顔が好きな感じ。でもでも、なんだろう。頼りがいもあって、不思議ね。

 

「ふふ。緑も良い感じ。妖精さんが手入れしてるんだって」

「日々生活を支えてくれている。頭が上がらんよ」

 食堂の手伝いとか、普段の生活で妖精さんの力は欠かせない。

 

あれだけ愛らしい小人達が、パワフルに動く姿。微笑ましくて愛おしい。

「綺麗に整えられた森林は、心の安定をくれる」

「ほんとだ。かなり良い感じ」


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