「そういえばだけど。他二人はさ、どうやって過ごしてたのかな?」
こうして接してると、気になってきたり。
別段、嫉妬という程じゃないと思うけどね。どうだろ。気になる時点で嫉妬かな。
独占欲とはちょっと違う。胸が切なくなる感じ。
「白露には膝枕をしてもらって」
「ひ、膝枕」
すごい。さっすが一番艦だ。私では手の届かない領域に話が飛んでる。
で、でもでも。うん。提督が望んだなら。いやどうだろ。
とっても恥ずかしいしドキドキして、落ち着かなくてしょうがない。
逆にしてもらうとか――きゃ~! もうだめ。それはだめなやつ。
「時雨は…言っても良いんだろうか」
「言っちゃ駄目な事をしたの!?」
キスとか!? く、くち、くちびるの接触……あわ、あわわ!
柔らかいのかな。暖かいのかな。愛おしいのかな!! でも、アレだよ。
響ちゃんとの二股とか絶対にダメだから!!
「し、時雨ちゃんを傷つけたら許さないから!」
いつも皆を守ってくれる姉さん。優しくて、とても儚げで愛おしい人。
愛し合ってるなら良いけど、男の人のは違うのもあるって。もうわからないけど。
そういうの、だめだと思う! 愛し合ってないとだめだと思う!
「大好きな時雨姉さんなんだな」
とっても優しい微笑み。少しだけ落ち着けた。
「う、うん」
みんな大好きだけど、私が一番お世話になってるのは、時雨姉さん。
いっしょに食事したり、お昼寝もしてくれた。それこそ膝枕とかもしてくれたんだ。
姉さんが甘えられたとかはうれしいけど。いや、変にもてあそんだりもないだろうけどさ!
胸がもやもやする。大好きな二人に何かあったら。……あはは。
そっか。もう私も提督に大好きって思ってるんだ。これだけ大切に言葉で語られて、接してもらって。うん。
ふふふ。この人が幸せになってほしいなあ。不思議だけど、いい感じ。
「二人きりだと姉さんって甘えてる。迷惑とか言ってなかった?」
きっと言わないだろうけど、疲れてるとか。
時雨姉さんが皆に甘える姿を、思ってみれば見たことなかった。たま~にだけど。白露姉さんに甘えてたり。
そういう時はいつだって雰囲気が重くて。う~ん。
「可愛くて仕方がないと言っていたぞ。抱きしめられたのだろう」
暖かくて優しい思い出。時雨姉さんは、私たち姉妹の中で一番情が深い人。
一度だけだけど、ぎゅ~って抱きしめてもらった。
…あの時、震えてたのを覚えてる。忘れない。
「えへへ。まあね」
それでも嬉しかったのは事実で、思わず笑みがこぼれちゃった。