「ちょっと良くない感じ。直さないと怒るんだから」
嫌いじゃないけど。山風とかは、そういうのは駄目な子なんだ。
…もっと私も甘やかされたい。いやいや。何を考えてるの。本音だけど。う~ん。
複雑な感じ。流れてる風みたいに、柔らかくいられたら良いのにな。
「善処しよう」
からかいの雰囲気は消さないまま、とっても優しい声で言葉が返ってきた。
ずるい。私も提督をからかいたいよ。ふふふ。本当に、初対面から考えたらすごい進歩ね。このまま良い感じに今日が進むと嬉しい。
それなら、そうね。もっと触れ合わないとなあんて。
結局、私が触れ合いたいだけ。もっと知り合いたい。心を近づけたい。貴方を知りたくて、私を知ってほしい。
「…提督は」
どきどきと心臓がうるさい。白露姉さんは膝枕。時雨姉さんは抱きしめ合って。
段々と密着度が上ってるんだ。私は、私は…えへへ。緊張もするけど楽しみだったり。
どうなるかな。私からはその、言えないし。提督に聞いてみる。
「村雨とはどうしたいの?」
「お、おう」
若干固くなった提督の表情。雰囲気も強張ってる。
何だろう。軽く引かれてる気がする。やっぱり変な質問だったかな。そんなつもりはなかったのかな。
少なくとも、提督からは要望がなさそう。思ってみれば、姉さん二人も自分から言ってた。
私から? いや、いやいやいや。緊張がすごい。言葉が出てこなさそうだ。
でも、今更退けない。頬の熱さとか胸の高鳴りとか。もう限界が来そうだけど。
勇気を出して、一歩踏み込むんだ。
「やっぱり、その。あれよね。順を追うごとに過激だから、その」
抱き合う以上の事って言ったら。うん。私はえっちじゃないよ。そういうのじゃなくて。でも、そうなっちゃうよね。
それに親愛の示し方でもあるもん。すけべとかじゃなくて。
提督のくちびるを見た。そっと、自分のくちびるに触れる。触れ合ったらとても心地良い。きっとそうだ。もっと心も伝わって、とっても良い感じになれる。
後は勇気を出して伝えるだけ。
「ちゅーとか…?」
おずおずと提督の様子を見る。さすがに照れてくれるよね。
「こら」
間髪入れずに、提督のデコピンが炸裂した。
「いたっ!」
じんじんと額が痛む。ちょっと泣きそう。普通の人の威力じゃない。
さすがに砲撃ほどじゃないけど。一応艦娘の私に、響くデコピンって人間業なのかな?
しかも無表情!! 何の緊張もなく。淡々と叱られちゃった!
「乙女の柔肌に何するの!」
ひりひりする。痕が残っちゃいそう。意地悪にしては痛かったよ!