働き者の彼女です
村雨の美声に融かされてから、翌日。なんだかんだとここまで結構な日数が経過して、もう三人とも仲良くなっている。
白露型の残り人数を考えれば、まだまだと言えよう。でも、良い感じだろう。
さて。今日も今日とて白露型。……ちょっとだけ響が懐かしかったり。
『司令官。作戦命令を』
あの落ち着いた声。揺れない佇まい。透き通る湖の様な瞳。
せっかく来てくれる者達に失礼だけどさ。やっぱり響の安定感はすごいぜ。うんうん。ああ駄目だ。彼女に頼りっきりの自覚もあった。
それも含めて、響に休暇を与えたんだ。
ふふふ。それはそれとして楽しんではいる。ここまで良くしたもらった。
特に白露と村雨のおかげで、肉体的な疲れは完全に消えてる。時雨の甘えっぷりで、心の充実も素晴らしかった。
白露効果もあるのか、皆優しく受け入れてくれていた。嬉しいね。この調子で最期までいきたい。おっと。字を間違えた。最後までだ。
そうして、四人目の白露型は。
そう。4。この数字が表わすのは恋い焦がれた彼女の事。白露型で四番艦と言えば…!!
「春雨。入室いたします!」
そう。白露型駆逐艦・五番艦の春雨である!! ははは! ……はあ。
嬉しいけどさ!! 春雨に失礼なのも分かってるし、彼女の良さは口から出まくるぞ。
小柄で愛らしい姿。特徴的なピンク色の髪は、自然に似合っていて可愛い。
サイドテールが少女の魅力を引き立てて、紅の瞳はくりくりと愛らしい。何よりも小動物的なのが魅力的だ。
同じく落ち着いた白露型。そう。時雨の雰囲気を儚さと例えるなら、春雨の雰囲気は献身と言おう。
どちらも落ち着いているけど、春雨は此方に尽くす感じが強い。
小さな体でせいいっぱい働いて、尽くす形の頑張り屋。時雨の穏やかさと、夕立の忠犬のブレンド。
――などと言ってみたが、別に何も接してないからな!
『司令官、気持ち悪い目で見ないでください。口も開かないでほしいです。息が臭いので』
徹底的に冷たい瞳で、こんな感じに言われちゃうかもしれない。興奮してきた。
凄まじい妄想である。こういう愛らしい子に言われると、破壊力が強いな。妄想のダメージが酷かった。
「司令官…?」
落ち着かない様子で俺を見ていた。揺れる眼差しも愛らしく。
いやしかし。他の皆と比べれば、順当な滑り出して言えるのではなかろうか。
一気に甘えてくれた時雨。出会い頭に危なかった白露。滅茶苦茶怯えていた村雨。
三人と比べると、穏やかすぎる程の滑り出しである。さてはて。どうなる?
「何でもないんだ。とりあえずお茶にしようか」