「ふふっ」
「よく分かりませんが、楽しそうで何よりです。はい」
仄かに困惑しつつも笑ってくれた。可愛い。ぎゅっとしたい。
小動物的愛らしさがある。娘的可愛さというか。だからこそ、いじめられると燃えるというか。逆にいじめてみたくもなったり。酷い意味じゃなくて。
こう。ね。目の前でね。下品な音を立てて、麻婆春雨を啜り食べたい。
ちょうやらしい眼で食べたい。
『…変態』
って蔑まれたい!! それが涙目など尚良し!!
ふう。いかんね。元気すぎるぜ。体調が戻った反動でハイになっている。
「素敵なプレゼントを頂いたお返しがしたい」
手作りの菓子で返しても良いが、せっかくだ。初めて食べさせてもらった記念に、できる限りを尽くしたい。お、俺の初めてを奪った責任、取ってもらうんだから!
うむ。気持ち悪い。
「何か望みはあるか?」
「あの、えっと」
彼女らしく戸惑っている。強く望む心は薄かろうよ。
そんな春雨だからこそ、俺もまた愛でたいと思うのだがね。愛でるって言葉エロいな。ふふ。よしよし。ちょっと格好つけて。
真っ直ぐに彼女の瞳を見ながら、仄かに気取った声で言う。
「大丈夫だ。俺を不義理な男にさせないでくれ。格好つけてさせておくれ」
俺の言葉を受けて、春雨もまた真剣な表情になり。
「――健康に生きてください」
とっても愛おしい望みを口にしてくれた。
「ふむ?」
胸がきゅんきゅんとしている。こうまで真っ直ぐに心配してもらえると、めちゃくちゃ嬉しいぜ。尊敬とか畏怖とかはあったけど、このレベルの献身なんてなかったからな。萌えはあったけど。
娘的を超えて、愛らしい孫と接している気分だ。俺は何目線なのだろうか。
「姉さん達から話を聞いて、表情を見て」
春雨の言葉は続く。控えめだけど譲る心はなく。底に秘められた想いが伝わる。
「皆、司令官を慕っています。私も、その」
照れる姿も微笑ましい。許されるならば、抱きしめて頭を撫で回したい。
テーブルが邪魔だ。いやいや。なくても出来ないけどさ。出来れば、隣に座った彼女から聞きたかった。
それだと正面からじゃなくて、もったいなく。ままならんね。
「ありがとう。春雨は優しい子だ。司令官として誇りに思うよ」
「えへへ」
嬉しそうに笑ってくれた。尊い。おっと、落ち着け。
「だがしかし。それは俺が気をつけねばならん事」
案ずる心は素直に嬉しいし、なんなら元気百倍になったけども。
それはそれとして、俺が春雨に贈りたいのだ。孫にプレゼントしたくなる爺の心が、今この瞬間魂で理解出来るね。うざがられようと、何か残したくなる。
不思議な少女である。いや訂正。不思議な美少女である。
「春雨自身の望みはないか?」