「…正直に言えば、難しいです」
春雨らしい言葉だね。ふふ。逆に村雨だったら。
『ふふ。それなら、提督のいいとこ見せてちょうだい!』
なあんて元気にはしゃいだかな。これもまた春雨の良さだ。
静かにしっとりと寄り添う優しさ。愛らしさ。好ましい。
「そうさな。欲しい物でも良い。うさぎの人形とか、何でも良いぞ」
「えっと。その、あの…」
本格的に困り始めた。仄かに泣きそうな気配も感じる。
ううむ。プレゼントをしたいからと、彼女を傷つけては本末転倒だ。
涙目は萌えるけど、泣き出されるのはさすがに心苦しい。
「いや。そうだな。春雨から望むのは難しかろう」
「ごめんなさい」
しょんぼりと落ち込んでいる。それはいやだ。
「気にする事はない。俺が勝手にしたいだけなのさ」
さあ、頭を回そうじゃないか。人一倍献身的で、真面目な彼女だからこそ。
よく考えて、その日々の報いも込めて何かを贈りたい。
真面目、献身……そうだな。こう言えば春雨も喜ぶだろうか?
「そうだ。今日一日、提督業務をやってみるか?」
「て、提督業務ですか?」
さすがに困惑していた。いや、お礼に仕事を押しつけるとか、最低すぎるだろう。
そうではない。提督として、位置づけるからこそよ。俺が奉仕しやすくなる。
よし決めたぞ――今日の俺は春雨を徹底的に甘やかす!!
ふにゃふにゃにとろける位、俺は春雨に尽くしてみせるぞ!
むっふっふ。百八の絶技を持つと噂された男。それがこの俺である。按摩などの肉体的癒やしを極めて、お菓子作りとかの技術も持っている。
さあて頑張るぞ~! まずは彼女をしっかりと誘わねば。
「うむ。仕事は少ないし、補助もしっかりとする」
めっちゃ補助する。とってもご奉仕しよう。足を舐めろと言われれば、喜んで舐める。椅子になれと命じられれば、四つん這いになろうじゃないか!
ふう。落ち着け。そういうのじゃなくてだな。春雨にお礼がしたいだけだ。
「春雨が慣れてくれればそうだな。俺が休みやすくなる」かもしれないね。
休むつもりも早々ないけどな! だって提督じゃないと、提督してないと艦娘と触れ合えないし。休日とか何をして良いのか分からん。
それに責任が重すぎる。命令一つで皆が死ぬのだ。背負わせて堪るかよ。
まあ、補助的業務の一環として。
提督の仕事の流れを知っていれば、俺が体調不良の時の繋ぎとかは出来るだろう。
指揮こそ特殊な感じだが、事務仕事は本当に誰でも出来る。
「や、やってみます!」「よろしく頼む」
元気いっぱいな返事を受けて、春雨の提督業が始まった。