火照る体を持て余しながら、彼の心を楽しんでいる自分。
戦闘とはまた違った高揚。これから歩む日常に、強く期待を覚えてしまう。
悪くない。と言うのが私だろうに。待ち遠しいと思う自分がいる。
そうやって過ごしていけば、かつての仲間達がここに来る時もあるだろう。
幾ら平和と言っても、ここまで戦火が訪れる日だってくる。
演習。遠征。大切なこと。
それにそれに、こうしてエロスばかりとも限らない。
だから、味わっておこう。覚えておくんだ。彼の心が私を求めてくれて、私も強く彼を求めている。
熱量を忘れない。誘惑したドキドキも、求められた愛しさも絶対に忘れない。
…いやしかし。自分でするのとは違った。
いやいや。何を考えているんだ。そろそろ勝負を終わらせないと。
内に秘めた思考なんて露にも思わせず。ただただ将棋を考えながら。
名残惜しくも盤面は進んで、将棋の決着がついちゃった。
目の前で創が頭を下げて、私の勝利を告げる。
「参りました」
当然の様に創の戦術は崩壊して、二つの意味で私は勝利を刻み込んだ。
あ、危なかった。楽しみすぎて私が負ける所だった。
後で下着を替えないと。暁に見られたら厄介だな。勘違いされそうだ。
私は彼女と違って、膀胱の方は緩くないんだ。愛おしい姉とは違って、お布団に世界地図は描かない。
ふっふっふ。それでも私の勝利だ。約束通り食べさせ合おう。
下着は自室に寄らせてもらえば良い。今日。今日だ。皆が食事を終えない内に行こう。
さてさて。創なら逃げないとは思うけど、釘はさしておこう。
「司令。約束の報酬をもらおうか」
「今夜で良いか?」
えっ!? こ、今夜…あ、ああ。そうか夕食の話か。
そうだよね。分かってる。分かっているよ。
まだエッチな余韻が残っているみたいだ。頭が馬鹿になっている。
元からだと言われればそれまでだけど、ここまで酷くない筈だ。
よし。勝利したんだ。目的は完全に達成した。後は次に繋げるだけ。
一気に変わるのは難しくても、徐々に変わっていけば良い。
そうやって、平穏を楽しんでいくんだ。ふふふ。楽しみだね。
「時間を空けるよりは、早い方が良いね。うん。そうしよう」
ずっと頭を使っていて、お腹も空いてきてると思ったら。
私たちのお腹がなった。ちょっと以上に恥ずかしいよ。
誤魔化すように彼の傷だらけな手を握って、私から外へ歩み出すんだ。
「ほら行くよ。のんびりとした日常を、共に続けていこうじゃないか」
創が頷き仄かに笑う。それが嬉しくて、堪らない心が広がっていく。
彼の手を引きながら、これからの楽しみを抱えて進んでいく。