仲良く食べさせ合い。楽しい昼の時間が終わって、食休みである。
真面目な春雨は恐縮していたが、緊急時でもないのに、そこまで根を詰めても仕方ない。のんびりとお茶を飲みながら、二人隣に座り合って過ごしていく。
何でもない時間なのだが、こちらをちらちらと見ている彼女。ただそれだけで妙に愛おしく。
そうして、悪戯心を刺激してくれている。いや、やりすぎないけどね。
「俺の顔に何かついているか?」
じーっと彼女の瞳を見つめる。紅色の両目。こうして見ているとルビーより煌めく。宝石を超えた、生物としての輝きが眩しい。
美しい眼だと思う。俺の死んだ黒目とは大違いだ。
「い、いえ。その、はい」
恐縮し俯いてしまった。愛らしい。若干頬が赤いのは気のせいではあるまい。
出来る事ならば、わしゃわしゃ~っと頭を撫で回したいのだがね。今日は春雨を甘やかすと決めた。彼女の望みを叶えてあげたい。
「ふふ。今は春雨が提督なのだから、俺に気を遣いすぎる必要はない」
頭で分かっていても、難しいだろうとは思う。
しかし、それではもったいないじゃないか。楽しみ合おう。俺は全力で楽しんでいるぞ。
「望みがあるならば命令すると良い」
「えっと、その」
顔を上げてくれたけど、仄かに涙が浮かんでいる。
潤んだ瞳も美しい。熱の篭もった眼は、やはり宝石とは違う。
暖かく。そうして心が乗っている。見ていて飽きない色合いだった。
「先程の食事もそうだ。提督は秘書艦に甘える。その代わりに仕事が出来る」
などともっともらしく理由付けしたが、ぶっちゃけ俺の趣味だけどね!
…まあ、実際響としたのだから、嘘ではなかろうよ。うん。
「そういうものですか」
「そういうものさ」
そういうことになった。しょうがないね。
「では、その」
だけど躊躇う春雨。うむうむ。彼女らしい。別に、無理に望めと言うつもりもない。
「何でも良いぞ。肩もみから買い出しまで」
本当にそれだけだ。
『じゃあ視界の邪魔なので出ていってください』
とは言われないと思うけど、言われたならば従おう。
うむ。我ながら妄想が酷すぎる。持て余しているらしいぜ。ふふふ。
「今日一日全てを使って、貴女を支える紳士になりましょう」
格好つけた言葉を紡いでみれば、彼女がぽつりと一言。
「…一日だけですか?」
はい? 可愛すぎかよ。えっ。まじか。可愛すぎだよ。
「ふふふ。望むのならばいつまでも」
「じょ、冗談です! …はい」
震え声。照れた顔が真っ赤だ。らしくない。とでも言いたそうな顔色。
「そうかね」
あ、やばい。胸キュンポイントが凄まじい。危うく心臓が止まる所だったぜ。