紅茶とクッキー。お皿にクッキーを盛り付けて、改めてお茶会の用意を済ませました。
「愛らしく作られているじゃないか」
柔らかなニコニコ笑顔で、楽しそうにクッキーを見てます。
ふふふ。形は満足してもらえたかな。はい。後はお味さえ気に入ってもらえたら、上出来と言える結果ですね。
「うさぎが好きなのか?」
どことなく微笑ましいものを見るような、優しい目で聞いてきました。
…胸がくすぐったい。ちょっとだけ切なくて、嬉しいような。自分の顔が仄かに赤くなるのを、羞恥と共に実感します。
あんまりにも優しい声で、見守る人の顔で言われたからです。
「子供っぽいでしょうか」
我ながら、どこか幼い趣味だとは思ってるけど。あの愛くるしいフォルムが好きです。はい。目の赤さもなんとなく共感だったり。
思わず微笑んで言葉を返すと、大真面目な顔で返答してくれます。
「趣味は人それぞれだよ。ただ、そうだな」
じ~っと、愛おしそうにクッキーを見ています。
噛みしめる様に、心に焼き付ける強い眼差しです。
司令官の深い感謝と喜びが伝わって、私も嬉しくなってきた。素直な喜びを受け取ると、贈った方も嬉しいんですね。一つ勉強でしょうか。
「春雨の手作りで、しかもこれだけ可愛らしいと。飾っておきたくなる」
素敵な笑顔で、とっても愛らしい事を言ってくれました。
だけど、食べてほしい。なんでしょう。ちょっとだけその、食べてほしいというのは。
やっぱり何でもないです。努めて冷静さを意識して、言葉を返します。
「…それは恥ずかしいので。食べてほしいです」
「ふふふ」
楽しそうに笑ってから、真摯な声で。
「了承した」
言ってくれました。緊張が大分解けています。早く食べてほしくて、期待の方が上回った感じ。村雨姉さんじゃないけど。良い感じ。
「では、いただきます」
「は、はい! 召し上がれ、です」
一口。司令官が嬉しそうに食べてくれます。
さくさくと心地良い音が響きます。表情を見れば、苦みなどに顔をしかめる様子もなく。顔だけを考えるなら、失敗ではなかったと思います。
ちゃんと、塩と砂糖は気にしてました。五月雨みたいなドジはありません。
…時が引き延ばされているような錯覚。それでも、言葉が返ってくるまで緊張は解けきれなくて。ただ待っていると。
ゆっくりと味わって、満足げに何度か頷いてから。
「ありがとう。これで何も怖くない」
どこか消えそうな微笑みでお礼を言ってくれました。
「何の話ですか!?」
思わず反応してしまうほど、妙に儚げな言葉でした。