どう話しかける? 言うまでもないが、空気はとても重たい。
息をするのも辛い。此処は戦場なのだろうか。食堂だと思っていた。
ヤバい。川内さんめっちゃ凜々しく、真っ直ぐな顔になってる。違うよ。そんなのぜったいおかしいよ。
どうにかして、そんな川内の夜戦が聞きたい。夜戦。夜戦じゃあ!! …まあ、それはそれとして。
腹が減った。今日は何を食べようか。
「響。今日のお品書きを取ってくれ」
無言のままに取ってくれた。軽くお礼を言ってから眺める。
ふむふむ。和洋中は一通り。季節を考えた良いメニューだ。
から揚げ定食かな。偶にはがっつり食べたい。
響にお品書きを返すと、彼女もすぐに今日の夕食を決めたらしい。妖精さんに伝えていた。
妖精さん可愛い。初めて料理を運んだりする姿を見た時は、思わずときめいてしまった。…妖精にも、穴はあるんだよなあ。
消される。落ち着け。
まあ、当然だけど。間宮と伊良湖と鳳翔だけで、料理は用意出来ない。
人力として、多くの妖精さんがフォローしている。
そこは給糧艦なので分かるけど、どうして鳳翔も同じ事が出来るのだろう? 謎だ。
いやしかし。三人で同じ食卓についているわけだが。
「「「……」」」
誰も喋らない。沈黙が金とは言うけれど、俺はどちらかと言えば銀の方が好きである。
響も銀髪だからな。関係ないか。そうか。そうだな。
こうして、改めて川内を見てみれば。本当に凜々しい美人である。
艶のある黒髪。鴉の濡れ羽色と称したくなるほど、美しい髪色。
同色の瞳には、湖面の如き澄んだ心。血色の良い肌色。子供みたいに滑らかそうで、とても健康的な肌をしている。あの頬とか、引っ張ったら絶対に柔らかい。
今こそ真面目で引き締まった表情をしているけども。
微笑みを浮かべている時や、いたずらに笑う彼女の姿を、俺は知っている。
あれは人生を楽しんでいる人間だけがもてる、強く優しい魂の色なのだろう。
転生者として、勘違いしないようにしたいと常々思っているので、この鎮守府にいる艦娘を見るようにしてきた。
おおよそ想像の通り。川内は夜を好み、俺が事前に知っているキャラと、相違は少なく思える。今更、長々と建造や契約の説明はしないけど。
提督によって性格と性能が変わる。程度の理解で良かろう。
…うん。これこそ転生者の一番の異常性だ。外界に存在するであろう絶対者、つまりは作者や展開なんかを考えて、一人語りをしてしまう。
天才と馬鹿は紙一重とは、よく言ったものだ。
美人は三日で飽きるとは言うがね。俺は川内の凜々しい表情には、飽きない。
こうしてみると、ちゃんと女性らしく整っているのが良い。
いや、うん。引き締まっているのも良い。尊い…ってなってるけど。
髪触りてえと素直に俺は思っていた。