ゆだった頭。ぐらぐらに揺れる意識。心が蕩けていく。ああ、私は何を言おうとしてるのだろう。でも良いでしょう。もう良いでしょう。こんなに甘えきって、貴方は私を許してくれたから。
だからこそ、私から本音を零しましょう。そうしたい。そうしたいの。
振り返る。貴方の目をしっかりと見つめて、このドロドロな心を徐々に言葉へと。
「司令官は褒める達人ね」
「春雨が尊いからさ」
何の迷いもない言葉。柔らかな微笑を乗せての、とっても優しい心。
暖かい。嬉しくて笑いそうだけど、今は聞かせてほしいことがある。
「…口が上手なんだから、もう」
嬉しくて悲しい心。本音を全て聞かせたら、貴方に全部問いかけたら。
この時間が消えてしまうのかな。ああ。それはやだ。いやだけど、この時間に意味を持たせたい。
笑う。精一杯の思いを込めて、小さな背にいっぱいの想いを込めて。
「ね。私ってほんとに役立ってる?」
弱い艦娘。遠征に使うしかない艦種。駆逐艦の名前に劣って、戦場から駆逐された艦娘。
正反対の意味になっちゃった。笑えない。笑えないよ。
…もちろん戦えはするよ。雷撃戦では戦艦にだって負けないし、空母と違って、素の状態なら潜水艦とも戦える。川内さんじゃないけど、夜戦なら私たちに利が生まれる。
それでも、脆いんだ。一撃貰えば動けなくなって、あっさり轟沈する程に脆く。
指揮する司令官への負担が重すぎて、駆逐艦の運用は難しいと結論づけられた。
駆逐艦でなければならない理由なんて、どこにもないんだ。
…それこそ、かつての貴方みたいに。首席故の実験的な試みとして、響ちゃんと運命を共にする。とかでもなければね。
私たちの活躍の場は少なく。意味は殆どないのかもしれない。
「補給の大切さは知ってるよ。魂にしみ込んでる」
燃料消費とかを考えて、私たちは遠征にもっとも適性のある艦種。
裏を返せば、出力が弱すぎるんだ。
「でもね。今は、敵を殺せる者が必要」
そう。状況が許してくれない。自分を許してあげられない。
目の前の貴方を見る。どこか困った様な、泣き出しそうにも見える。
深く。静かに佇む黒色の瞳。夜の海みたく底が見えなくて、全てを受け入れる優しさが見えた。だからこそ、言葉は止まってくれない。
止まらないで、終りまで続くんだ。
「どこまでいっても、私は改にすらなれない弱い者」
空母や戦艦とは違う。貴方の戦いに役立てない。
ねえ、聞かせて。神とまで謳われた貴方は、私に何を伝えてくれるの?