いちゃいちゃ大好き提督日常   作:ぶちぶち

175 / 322
約束をここに、です

 とっても名残惜しくて、降りたくなくて、ずっと包まれていたくて。

 許されるならもっと座ってたいけど。

 …司令官のお膝から降りました。はい。

 ふふ、強くなるには自分の足で立たなくちゃね。

 

「ありがとうございます」

 もう一度お礼をつげて。続く言葉は仄かな躊躇いが残ってるけど。

 残ってる私も含めて、貴方にこの想いを伝えたい。

「司令官のおかげで、ちょっとだけ自分が好きになれました」

 

 弱い自分。揺れる考え方。丁寧な在り方もずっとは出来なくて、心が零れちゃった今日。

 でも、強くなれる。なりたいと思えたんだ。こんなにも甘えさせてもらえて、認めてもらえた。だから頑張れる。私は春雨を続けていられる。

 

「こちらこそ。春雨の手助けが出来たならば良かった」

 とても嬉しそうな司令官の言葉を受けて、私もげんきいっぱいに返事をします。

「はい!」

 

 ニコニコとお互いに笑って、のんびり過ごす時間も好きです。けど、時間は止まらないので、今日を進めていきましょう。

「お礼と言っては変ですが、今日の夕食は私が作っても良いでしょうか?」

 

「ありがたくいただこう。期待しているぞ」

「お任せください」

 私特製の、麻婆春雨をごちそうしましょう。ふふふ。びっくりしてもらえるかな。

「ふふ。提督体験中なのに、やっぱり変ですかね」

 

 司令官が作るのは良いのかな? でも作りたいな。

「俺が作る時もある。気にすることはない。ただただ楽しみだよ」

 きっと司令官手製のお食事も、とっても美味しいのだろう。

 

 お菓子作りであそこまで上手かったからね。はい。今日は私の頑張りです。

「そ、そこまで期待されると不安だったり。がんばります」

「うむ」

 ここでいつもなら会話が終わって、次の話題になってた。

 

 だからこそ今はさ。胸を張って堂々と、とくとく高鳴る鼓動を認めながら。

「でも、でもでも。春雨に期待しててくださいね」

 ずっとね。応えて魅せるから。強くなるから。貴方の笑顔が見たくて、私からとびっきりの笑顔を浮かべて。

 

 真っ直ぐに、司令官の真似をして本当に真っ直ぐに。言葉を紡ぎます。

「――約束ですよ」

「約束するよ」

 ああ。絶対に司令官の約束なら、破られる事はないのでしょうね。はい。

 

 強くなろう。弱い私を認めて、こんな私を愛してくれる皆に応えたい。期待してくれた貴方に応えたいから、もっと頑張ります。

「では、残りの仕事も頑張っていきましょう」「ああ」

 手始めに今日はお料理を頑張ろう。司令官のほっぺが落ちる位のを作るんだから。


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。