とっても名残惜しくて、降りたくなくて、ずっと包まれていたくて。
許されるならもっと座ってたいけど。
…司令官のお膝から降りました。はい。
ふふ、強くなるには自分の足で立たなくちゃね。
「ありがとうございます」
もう一度お礼をつげて。続く言葉は仄かな躊躇いが残ってるけど。
残ってる私も含めて、貴方にこの想いを伝えたい。
「司令官のおかげで、ちょっとだけ自分が好きになれました」
弱い自分。揺れる考え方。丁寧な在り方もずっとは出来なくて、心が零れちゃった今日。
でも、強くなれる。なりたいと思えたんだ。こんなにも甘えさせてもらえて、認めてもらえた。だから頑張れる。私は春雨を続けていられる。
「こちらこそ。春雨の手助けが出来たならば良かった」
とても嬉しそうな司令官の言葉を受けて、私もげんきいっぱいに返事をします。
「はい!」
ニコニコとお互いに笑って、のんびり過ごす時間も好きです。けど、時間は止まらないので、今日を進めていきましょう。
「お礼と言っては変ですが、今日の夕食は私が作っても良いでしょうか?」
「ありがたくいただこう。期待しているぞ」
「お任せください」
私特製の、麻婆春雨をごちそうしましょう。ふふふ。びっくりしてもらえるかな。
「ふふ。提督体験中なのに、やっぱり変ですかね」
司令官が作るのは良いのかな? でも作りたいな。
「俺が作る時もある。気にすることはない。ただただ楽しみだよ」
きっと司令官手製のお食事も、とっても美味しいのだろう。
お菓子作りであそこまで上手かったからね。はい。今日は私の頑張りです。
「そ、そこまで期待されると不安だったり。がんばります」
「うむ」
ここでいつもなら会話が終わって、次の話題になってた。
だからこそ今はさ。胸を張って堂々と、とくとく高鳴る鼓動を認めながら。
「でも、でもでも。春雨に期待しててくださいね」
ずっとね。応えて魅せるから。強くなるから。貴方の笑顔が見たくて、私からとびっきりの笑顔を浮かべて。
真っ直ぐに、司令官の真似をして本当に真っ直ぐに。言葉を紡ぎます。
「――約束ですよ」
「約束するよ」
ああ。絶対に司令官の約束なら、破られる事はないのでしょうね。はい。
強くなろう。弱い私を認めて、こんな私を愛してくれる皆に応えたい。期待してくれた貴方に応えたいから、もっと頑張ります。
「では、残りの仕事も頑張っていきましょう」「ああ」
手始めに今日はお料理を頑張ろう。司令官のほっぺが落ちる位のを作るんだから。