長々と心で思った通り。川内の魅力は様々ある。
凜々しい表情。明るい声色。美乳。健康的な肌。すらりとした体。
妄想がやばい。落ち着け。ちょっとパンツの余韻が残っているぞ。
さて。
しかし触れるとするならば、俺は彼女の髪こそ至高であると断言しよう。
それは例えば、男が女にする愛撫の如く。そんな触れ方でも良いけど。
俺の信条は違う。川内へ失礼かもしれないけれどな。俺はどちらかと言えば、川内には発情出来ない。
響相手には勃起するのだが。――俺はロリコンだった? いや、違う違う。
川内相手にはなあ。こう。手のかかる娘というか。無邪気さを感じてしまうのだ。
例えばそう。
『ね~提督! 夜戦しようよ~!』
なんてじゃれついてきた川内にな。こう。押しのける感じで頭を押すわけだ。
はからずも、じゃれついた犬に似た状態さ。照れた様に彼女が微笑んでるとしよう。
『くすぐったいよ~』
と、無邪気に彼女が笑うと思う。まずここで俺は達した。めっちゃ発情している。
落ち着け馬鹿野郎。達してない。落ち着け。
想像だが、彼女の黒髪は絹みたいに滑らかな感触。だろうな。うんうん。艶が違う。
小柄で女性なんだと実感して、堪らぬ気持ちになれるんだ。く~!!
撫でたい。めっちゃ撫でたいぞ。いくか? 想像の俺が死んだ。何故だ。
もしくはそうだな。想像しろ。考えろ。妄想するんだ。
薄暗い自室にて。川内が遊びに来たとしよう。どこか仄かに赤面しながら、震える声で彼女が言うんだ。
『…ね、夜戦しよ?』
ヤバい。ヤバいぞ。それでそれで、流れとして抱擁したとする。
そのまま、俺が彼女の頭に手を添えたとしよう。
もうだめだね。その時点で絶頂もんである。尊死してしまう。
あれ? 可笑しいな。勃起しているぞ。
ふう。やれやれだ。無言の間が気まずすぎて、ついつい妄想の世界に没頭していた。
というか、緊張感が酷い。なんで響まで無言なのだろう。
響をちらりと観察してみた。なにやら考え込んでいるようだ。
何だろう。作戦立案時にも似た、集中を感じる。
敵襲か? いやいや。食堂に敵なんていない。
強いて言うなら、今俺の命を最も脅かしているのは、俺自身の想像力である。
誰かに知られたらと思えば。相手にもよるけども、そうだな。興奮する。
ふふふ。いやしかし、日頃からスケベではあるのだがね。
誰かと夜の関係を持つことは、あるのだろうか? それこそハーレムとか。
『司令官。さすがにこれは恥ずかしいな』
『夜戦なら川内にお任せってね!』
二人の艶姿。実は臆病な所もある響の、奥手な誘い方。元気いっぱいな川内の誘惑。
心臓が停止してしまう。ヤバいな。俺の心臓が脆すぎる。まあ、そう考えつつも。
まかり間違ってそんな事態になったなら、やっぱり確実に拒絶するがね。怖いし。ちょっと違うよな。
ドロドロしている。
俺が欲しいのは健全な萌えなんだよ。燃えは十分得た。
なんなら全身燃えた事もある。
つまりだね。爛れた感じはノーである。
「おまたせいたしましたー」妖精さんの愛らしい声。
俺が馬鹿な事を考えている間に、から揚げ定食が運ばれてきた。楽しみだ。