「だから、今日一日は提督さんに甘えるっぽい!」
一転、滅茶苦茶明るい声で宣言されてしまった。完全に緊張が解けている。良い傾向であった。
俺もまた戦場の空気を捨てて、全身全霊で応えようじゃないか!
「ならば俺も司令官として、夕立を甘やかそうではないか!」
「ふっふっふ。夕立の甘えっぷりはすごいっぽい。降参するなら今の内よ」
彼女が立ち上がる。俺も応え立ち上がった。
じりじりと近づいてくる。あやしげな笑みを浮かべて、とっても愛らしい。
むしろ俺が甘えたい。唐突に俺が抱きついたらどうなるのだろう。受け入れられそう。白露とは違う意味で、彼女も抱擁力がある。
「俺とて軍神と謳われし男。降参の二文字は、我が魂に在らず!!」
嘘だ。降参もとい、逃げて良くなるならいくらでも逃げる。逃げまくっても、最後に勝てればそれで良い。
「よっし。こい夕立。ソロモンのなんかこう、良い夢見せてくれ!」
「ふふ、それならソロモンの、えっと。良い感じの夢、見せてあげる!」
ここに戦闘が開始されて、まずは夕立から抱きついてくる。
「えいっ」
「初手はハグか!?」
暖かく柔らかな体に抱きつかれて、素直に嬉しく気持ちが良い。
あえて反撃はしない。夕立にされるがままだ。ふっふっふ。次はどうだろう。
「そして、すりすり~」
「くっ…! 夕立の額でこすられているぜ!!」
ちょう可愛いんですけど!! や、やばい。これはやばすぎる。
こんなに幸せで良いのだろうか。何だろう。唐突に地獄へぶち込まれないかな。怖くなってきた。
「更に」
「押し倒されただと!?」
ソファに押し倒されて、馬乗りされてしまった。この構図は不味いですよ奥さん。
ふぉっふぉっふぉ。しかし今の俺は不思議な悟りモード。エロい気分にはならないぜ! でも、正直この構図を白露とかに見られたら、かなり怖い感じ!
「そうして~もっとすりすり!」
「頬ずりもきたか! こいつは豪快だ!!」
産毛すら感じない柔らかな頬が、幸せなすり心地を与えてくれた。
とろとろに脳みそが融けそう。めちゃくちゃ幸せすぎて、もう、もうね!!
「えへへ、撫でて撫でて」
「よしよし。くぅ~、おねだりまでされちまったぜ!!」
わしゃわしゃと撫で回してみる。頬ずり状態なので見えないが、とても嬉しそうな声が耳元で聞こえる。
「ふふ。提督さんって、とっても優しくてノリが良いっぽい」
「俺も大分変わったからな、はっはっは!」
皆との付き合いが良かった。ここに来たばかりでこんな感じだったら、テンションの差が大きくて死んでいたぜ。
「白露のおかげ?」
「切欠はそうだった」
彼女の抱擁力には随分助けられた。心もだけど、あの後不眠症が改善されて。
体調もすこぶる良い。かつてと比べれば、雲泥の差である。
「時雨に甘えられて、村雨の願いを知って」
想いを背負いながら。
「春雨の想いも知りながら、夕立に応えたくなった」
願いを叶えられる自分で在りたいと思った。
「五月雨も良い子だから、期待するっぽい」
「うむ。後は改白露型の子達だが」
愛らしい四人がいてくれるんだけどな。ちょっと暇がなくなってきた。
「今回は関わらないっぽい?」
「白露の影響力が及ばないからな。まだ怖い所もある」
特に山風とは、ちょっとこう。相性が悪いかもしれない。
滅茶苦茶好きだけどね。俺もパパになりてえな。
無論それだけじゃない。考えないといけない事があるんだ。
「後はそう。気になる事もある」