魚雷を発射して、残りの一体も倒せたっぽい。
澄み渡る空の色と海の匂い。敵の圧力も感じなくて、清々しい空気を感じる。
一度だけ、勝利の余韻を味わうように深呼吸。その勢いのまま。
「大勝利っぽい!!』
思わず跳びはねる位の勝利っぽい。提督さんの指揮で、完全に勝利した。
ふふふ。良い気持ち。きらきらした心が広がってるっぽい。…駆逐艦だからって、もやもやしてたのが、この戦いで楽になったっぽい。
早く帰って提督さんに姿を見せたい。提督さんの姿を見たい。褒めてくれるかな? 頭とか撫でてほしいっぽい。
いっしょにごはんも食べたいっぽい。食べさせ合ったり。とにかく触れ合いたい。
『お疲れさまだ。負傷はないか?』
「掠りもしなかったぽい」
着弾する所が分かってて、当たってあげるほど優しくないっぽい。
これで相手の数がもっと多かったら困ったけど、二体位ならなんとかなったっぽい。
『ならば良し。良くやった』
もっと褒めてほしいっぽい。う~ん。ふふ、そうだ。
帰還したら抱きついてみようかな。提督さん、怒らないかな? 触れあいは嫌いっぽい? でも、他の皆は甘えられたっぽい。
だから夕立だって、もっと甘えてみたいっぽい。すりすりしたいっぽい。
「にひひ。このまま巡回も終わらせて、花丸仕事っぽい」
よし。頑張って甘えさせてもらいましょう。頭なでなでと、ぎゅ~って抱きしめてもらうっぽい。そしたら私も、ぎゅ~って抱きしめ返すっぽい!
『ん。気をつけてな』
「はあい』
提督さんの優しい声を聞いて、もう一回進み始めてく。
のんびりと海を滑る感覚。風を切る音が楽しいっぽい。艦娘だけが得られる特権っぽい。でもでも、提督さんを背負って、この喜びを共有したい。
「見るだけなんて、もったいないっぽい」
どんな感じかは知らないけど、艦娘と提督さんは感覚を共有してるっぽい。
海に在る時は、不思議な力が発揮される。今、私が見てる景色も見てるっぽい。
良い景色。提督さんといっしょに見てると思うと、もっと嬉しい。
そういう楽しい時に限って、やなことも訪れるっぽい。
『敵艦六体を感知、艦種は軽巡二、駆逐四』
「えっ…?」
先程の戦闘とは桁違いの敵数。二が六になったなんて単純な事じゃない。
普通なら、蹂躙されるだけっぽい。手も足も出ない戦いっぽい。
でも夕立は、響と提督さんの伝説を知ってる。
戦艦と空母で構成された敵艦隊を、2人のコンビだけで殲滅した話。
嫉妬だとか、羨望だとか単純な話じゃないっぽい。
響は響で、それなりに話した事もあるし。提督さんとお似合いっぽい。
でもそれは、女の子としての話で。今の私は艦娘なの。
魂の根幹が私も出来るって、叫びたがってる。伝えたい。聴いてほしい。