何度も、何度も戦っていく。被弾の痛み。痛い、痛いのに楽しい。
ボロボロになってく。その数だけ敵を倒していくっぽい。それが嬉しい。ああ。駄目。終わっちゃう。勝利を求めてたのに、終わってしまうのがもったないっぽい。
「あっ…」
弾薬、なくなっちゃった。敵と見つめ合う。笑ってるの? ふふ。壊してあげる。
――まだ拳が残ってるっぽい!
思いっきり殴り壊す。たまらない力を感じてるの。ああこれで。
「提督さんとの完全勝利っぽい」
海に残るのは私だけ。提督さんとの繋がりが、ここでの安らぎを教えてくれる。
静かな海は勝利の証っぽい。落ち着く。
勝った、勝てたんだ。夕立ね。頑張ったよ。皆と頑張って努力したの。でもね駆逐艦だったから、戦いを許してもらえなくて。
ずっと意味を見失ってた。私は艦娘。海で戦うために生まれた存在っぽい。
ん。とりもどせた。勝利の意味を思い出せたから。
「ここにいられるっぽい」
『…夕立、お疲れさまだ』
心底から疲れた声っぽい。つながりから、提督さんの強い疲労を感じてる。
でも、とっても嬉しそうなの。安心してるっぽい。嬉しい。ぎゅ~ってしたい。頭なでてほしいっぽい。
「提督さんもお疲れ様っぽい」
戦いに対するトラウマを感じるっぽい。なんだろう。夕立の艦装が変化してから、提督さんとのつながりが強まってるの。
がちがちに震えてる心を感じる。今にも泣き出しそうな顔が見えるっぽい。
気持ち悪さ、目眩、頭痛も感じてるっぽい。なのに、夕立に見せてない。…ちょっと悔しいっぽい。響になら見せたのかな? 甘えたっぽい?
私は甘えさせてもらえるだけ。甘えては、くれないのかな。なんて。
言えないっぽい。だって。
甘えるの大好きっぽい! 提督さんに早く会いたい!! でも、でもでも。夕立だって甘えてほしいっぽい。
『うむ。速やかに帰還してくれ。君の笑顔が早く見たい』
「全速力で帰りま~す!!」
変化した艦装の力で一気に帰る。途中で、提督さんからの繋がりが薄くなるのを感じる。
どうしたのかな? 夕立の方から探ってみるっぽい。艦装が変化したおかげで探れるっぽい。ふふ。ちょっと嬉しい。
…急激な吐き気。嘔吐、何度も咳き込む提督さんの声が聞こえた。
やっぱり辛かったんだ。隠してたけど、必死になってくれたんだ。
応えたい。ううん。応えるっぽい。強くなれた、強くしてもらったの。価値を思い出させてくれた、大切な人だから。
いっぱい甘えて甘えられて、提督さんの疲れも癒やされてほしいっぽい!