誇りと諦観、じんわり伝わる暖かい楽しさ。喜び。すっごく! …すっごく、複雑な思いっぽい。夕立が届かない所にある心。知ってしまうだけっぽい。なにも出来ないの。
これまで歩んできた提督さんの、頑張れる人が軍神と語られるまでの道。響なら知ってるっぽい? でも、夕立が背負える重みじゃないっぽい。――嫌だ。やだ。
ああ、強くなりたい。なれる。なるんだ。絶対に!
「素直な気持ちを言わせてもらえば、俺の指揮がない戦闘こそ価値があるのだと思う」
それはだめ。そんな消えそうな微笑みで言わないで。悲しい。だめ。駄目だよ!
指揮を執ってもらったから、提督さんの心との繋がりが残ってるっぽい。段々淡くなってるのに、それでもなんとなく分かる。それだけ相性が良いっぽい?
それなら嬉しいけど、分かんないっぽい!
「提督がいなくても戦える。ソレが理想像だ」
あなたがいてほしいの。夕立を強くしてくれたあなたが、提督さんでいてほしいのに。
死にたがりの笑顔っぽい。どこか私に似ている笑顔。見慣れてるから嫌だ。
「その為にも練度を高めていく。訓練と休息、二つの要素で戦士になるのさ」
強くなりたいのに、強くなりすぎると駄目っぽい?
「…駆逐艦は脆いっぽい」
ああ、だめ。甘えちゃった。困った顔してる。
そうじゃないっぽい。強くなるって約束するから、提督さんがいてほしい。伝わってほしいけど、難しいっぽい。諦めないから。もっともっと強くなるんだ。
「だが、夕立が今日手にした勝利と同じく。価値ある一勝を得られる」
そういうことじゃないっぽい。あなたといっしょだから! 勝利の価値を認められるっぽい。
皆がいてくれるから戦うのが怖いんだって、守りたいから強くなりたいんだって。教えてくれたのは提督さんでしょう。
なんでそこに提督さんがいないのを望むの?
艦娘は戦争の為にもあるんだよ。戦える、戦いたいのが夕立だから。辛そうな顔しないでほしいっぽい。
「そうでなければ、駆逐艦の魂が腐ってしまう。俺は覆すためにいるんだ」
まだいてくれるっぽい。だったら、提督さんが戦いを許せる位に、夕立はもっと強くなろう。
笑っちゃう位に簡単でしょう。ソロモンの悪夢と語られた私の、夕立の強さで素敵な時間にすれば良い。最高ね。
「頑張るよ」
改二に届いた魂と、背負う装備の力で超える。戦って、戦って、戦い続けた先にある所。今は、響が先に届いてる場所へ。夕立だって行ってみせるんだ。
「無理をしない範囲でな」「ぽい!」
そうすれば、今にも泣き出しそうなあなたの微笑みも守れるでしょう。