いちゃいちゃ大好き提督日常   作:ぶちぶち

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戦場の予感です

「提督、今日はいかがいたしましょう!」

「うむ。俺の補助を頼む。今日は少しばかり仕事量が多くてな」

 不自然な増援のせいで、調査範囲が一気に拡大している。今の内に他の仕事を片付けておかないと、緊急時に対処出来ない。

 

 まあ、仕事自体はかなりのペースで片付いている。余裕を見ても良いのだがね。

 それで負けたらと思うと、絶対に楽しくない。不安を消してからでないと、俺は安心出来ねえ。

 

「昼食時と、そうだな。午後のおやつ以外はあまり休憩出来ないかもしれん」

 は~、せっかく五月雨が来てくれたのになあ。転んでのパンモロからの。

『お、お見苦しいモノを見せてしまいました…!』

 

 とか言われてえな!! もうね。堪らんよね。お見苦しくないよね。むしろ俺の顔面に乗る形で…おっと。年齢制限で消されてしまう。落ち着け。

 むしろ俺がリトさんのように……むふふ。ふう。落ち着いた。

「もし五月雨が望むならば、他の日でも構わんが?」

 

 むしろ俺は他の日が良い。巣を潰した後で甘いハプニングを与えてほしい。

「いえ、提督との仕事が楽しみです」

 やる気十分に明るい笑顔で言ってくれた。うん。良いね。良いけど。

 

「そうか。ありがとう」

 俺とのプライベートは嫌だとか? いや、待て待て。ネガティブになっている。

『変態な提督とは話したくないです!』

 うっ! ふう。色即是空、空即是色。つまりはそういうことだった。

 

 

 さて。今日はいつもより真剣に仕事を進めよう。

 書類仕事を手早く片付けていく。五月雨に仕事をお願いするまでもない。

 手持ち無沙汰にしているのは素直に申し訳ないが、今は俺に速度の優先したいんだ。遊びが少なくて嫌になる。

 

 昼前には電報で、響達の艦隊の報告が届いた。直接顔を合わせて話したかったが仕方ない。――深海棲艦の巣があったのだから。

 交戦はなし。さすがの能力と言えよう。経験の深みが違う。

 

『大丈夫かい?』

 響の声はいつもより真剣で、俺の身を案じくれていた。

「大丈夫だ」『…ん』

 この一言だけで互いに通じる。そういう関係性だった。

 

 電話を止めて、静かに天井を見上げる。軽く息を吐いた。

「提督、今お茶を淹れますね!」

「頼んだ」

 

 気を利かせて五月雨がお茶を淹れに行ってくれた。ありがたい。少し一人になりたかったんだ。

「頼りになるのはありがたいね」

 脳髄が痺れる感覚が、段々と深みを増していく。

 

 緊張と興奮、戦場が待ち受けている。心が、何度も繰り返し続けた魂が呼応するように昂ぶっていく。

 響の報告より。おそらく、特殊なトリガーは発生していないとのこと。

 

「艦種制限なし。奥にボスがいて、そいつを仕留めれば消える」

 単純な巣が出来ているだけだ。その規模だって小さい。戦艦がいたとしても、巣の中心に1~2程度だろうとのこと。

 

 空母がいるかは不明だが、艦載機の気配はなかったらしい。

「正直ありがたい」

 対空戦力は必要ない。これならば、今の戦力でも片付けられる筈。だがね。

 

「…練度は十分。八割を超える勝率が見込める」

 論外だ。十回に二回は誰かが沈むんだぞ。洒落にならん。

 応援を願いたい。そもそも戦艦相手に駆逐艦をぶつける理由がない。

 

「響レベルまで上がっていれば別だが、今は無理をする理由がなさ過ぎる」

 相手が水雷戦隊ならばともかく、戦艦や空母がいるなら避けたい所。ぴりぴりと脳髄が痺れるようだ。


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