最悪の場合、本当に最悪の場合は、響と俺で殲滅する。応援すら願えず巣が活性化し、鎮守府に危険が及ぶ場合などだ。こと巣の殲滅に関しては、長門がいてほしかった。
響は生存に特化している。殲滅戦は向いていない。
当然と言えば当然だが、駆逐艦は脆い。狂った様に練度を上げているだけで、響も駆逐艦だ。
一発、まともに砲弾が直撃すれば辛い。それでもやるしかねえ。逃げるなんて論外。逃げ場なんてどこにもねえ。
あ~あ嫌だね。どうしてこう、甘い日常だけで過ごさせてくれねえのやら。
どうせ響と過ごすなら、のんびりと海を楽しみたかった。というか久しぶりに話すのに、全然いつもの感じじゃない。
などと運命に愚痴ってもしょうがない。頑張らせてもらおうか。
「提督、お茶を…きゃっ!?」
五月雨が転び茶飲みが宙を舞う。お湯が降り注いで俺のズボンを汚してしまった。かなり熱い。俺のおれが悲惨な目にあっている。
ありがとうございます! ありがとうございます!! …じゃない。落ち着け。ふう。まったくもって違う。ふう。そんなモノ、このチャンスに味わう事ではない!!
なぜか転んで、しかも四つん這いになっている彼女の姿。
はからずも、何故か俺に尻を向けている。めくり上がったスカートが示す理は――水色パンツの奇跡である!!
小ぶりながらもハリを感じる尻を、守るように、寄り添うように覆う神秘の布きれ。
汚れ一つないその下着は、彼女らしい清楚な雰囲気を感じる水色で、尻の形に皺の寄った姿は、なんというかリアルな破壊力を伴っている。
網膜と魂に刻まれる一瞬。瞬時に視線を外す。気付かれたら不味い。
うっひょお!! ぱ、ぱんつ、パンツです!! 刻みつけろこの一瞬を! 焼き付けろ我が網膜に!! 燃えろ魂、我が軍神の誇りよ!
本当に堪らんですばい。えっ? なんで薩摩?
いやもう。うひょひょ! どうでも良いぜ!!
さあさ、いざいざ毘沙門天の加護ぞある! 日光よ照覧あれ!!
「っうう…」
落ち着け! 痛がっている五月雨の前で発情している場合か!? 今だ。響のガチな罵倒を創造しろ。
『私のパンツの方が良かったよね?』
ふぅ~!! 良いねえ。全然興奮を鎮める気がねえな!!
いやでも、響が帽子を目深に被りながらさ。こう。赤面しつつよ。そんな事を言ってみろって。もうやばいって。もうやばやばだって!!
……やっぱりパンツを見られていた事に気付いているイメージで進むんだよな。不思議である。
「大丈夫か?」
割と勢い良く転んでいたように見える。艦娘でも不意を打たれれば痛かろう。そもそも艦装を出現させていない。肉体の性能は違うが、やはり痛みは感じる筈だ。
「あ、その。ご、ごめんなさい!!」
大慌てでわちゃわちゃとしている。軽く涙も見えた。余程、今回の失敗が堪えたらしい。俺も今回はフォローがしづらい。
まさか馬鹿正直に、パンツが見えたのでOKですなんて言えない。
「ああっ、こんなに濡れちゃって。お拭きしますね!」
ちょっ! そ、それはいかんぞ!! 俺のリトルボーイじゃなかった。ビックマグナムが暴発してしまう! ビックだから! 暴発しちゃう!!
「だ、大丈夫だ。それよりもケガはないか?」