ここにいる皆の力で殲滅出来たのならば、多大な士気向上が認められる。それはそうだろう。
しかし、俺は確実に勝てる方法を選びたい。必要のない無理なんて要らない。生死の賭けた戦いで、遊びなんて一切必要ない。
俺が余裕を見せるのは必要だからだ。余裕と無駄はまったくもって別物だ。
「それは」
息を呑むような表情だった。俺が意識的に圧力を高めているのもあり、竦むように戸惑っている。
「非道な言葉と笑うか? 冷酷と蔑んでも構わない」
夕立の時とは状況が違いすぎる。天龍の自責がどれだけ重かろうと、死んでしまえば拭う時間も得られない。
無論、天龍並びに他の軽巡の不満を放っておくつもりもない。
彼女たちが十二分に強くなっているのは認めよう。そもそも、普段の任務はこなしてくれている。練度も十分。
俺の指揮能力も随分と安定していた。殲滅出来るとは思っている。
それでも、巣は怖い。…トラウマなんだ。最初にして最後の撃沈は、初めての巣の攻略だった。あんな思いは二度と味わいたくない。
もしも川内型の誰かが欠けたら、白露型が沈んだら何よりも響が――耐えられるわけがねえだろう!
「君達の頑張りは知っているさ」
訓練の報告だったり、遠征の成果だったり。彼女達の練度の向上は、よく知っているんだ。夕立含めて、何名かは改二に達している。
「…はい。仕事を共にして、私も提督が知っていることを知りました」
嬉しそうに笑いながら言ってくれた。本当に嬉しい事を言ってくれる。この状況だと泣きそうだぜ。
それなのに、彼女たちの強さを信じていないのか? と問われれば痛いがね。ああそうだな。ある意味ではそうだ。否定出来ない。
俺は、何よりも俺を信頼していない。感情の矛盾だ。
俺を信じてくれている者がいるから、俺は俺を信じているけど。それでも! …落ち着け。落ち着こう。
必要ならばどんな状況でも超えてやる。だがな。それは徹底的にやった後の話だ。
今この状況で、未知数の天龍を編成する理由はない。俺が指揮を執るならば、響単騎の方が確実に優れている。夕立改二ですら及ばない。
俺と彼女の次元は、そんな領域ではないんだ。全幅の信頼を互いに置き合っている。
もっと言おう。断言しよう。
俺は、彼女にならば殺されても良い。彼女ならば殺しても良い。
絶対的に悲しくて、死ぬよりも辛いのにそう願ってしまう。耐えられないと知っているのに、そういう程の信頼関係が在ってしまうんだ。
信頼されていないと悲しませてしまうだろうか。蔑まれるだろうか。
ふっふっふ。俺は変態だからな。冷たい眼はご褒美である。……俺への罵倒だけならばと限定するがね。
「知った上で俺が判断したんだ。頑張りが足りなかったとは言わん。君達は最良を尽くし、ただ俺が臆病だから理不尽に潰した。それだけだ」
自己侮蔑に繋がったら嫌だ。俺が臆病者なだけなのに、彼女達が泣いたら嫌だ。侭ならんねえ。