こてんと首を傾げた姿が愛らしい。頭を撫でてみた。眼を細めて受け入れてくれる。気持ちよさそうだ。きゅんきゅんしている。
愛おしい。困ったな。この数時間で互いに心を許してしまっていた。
悪いことではないのだがね。しかし、俺が転生者であると気付かれるのは、かなり困ってしまう。きっと皆受け入れくれるだろうけども。
俺が、嫌なんだ。
「今此処にある五月雨は他にない。それに、俺は他の五月雨とも出会っていない」
これは本音だ。前世の知識だけで接することはない。天龍の変化だとか、確かに残念だと思って動いたとしても、押しつけはしないさ。
あるがままを見つめて、自らの魂に従って生きていく。
「その上で言えるのは、他の白露型の姉妹達から話を聞き」
ここまで出会った白露型の皆は、五月雨を愛していた。
お姉さんな白露、皆を愛する時雨、可愛らしい村雨、甘え上手な夕立、頑張り屋な春雨。そうして、底抜けに明るい五月雨。
素晴らしい姉妹達だと俺は想っている。
改白露型に触れられないのが、残念でならない。彼女達の輝きも尊いモノだったろうにな。
「こうして共に仕事をして、提督としての在り方も考えて」
提督として考えても、向上心がある者は好ましい。この鎮守府の艦娘は、努力を続けられる者達だ。
正しい道と言えば傲慢だが、努力の道を効率よく出来る俺でいたい。
「娘の様に愛らしく思っている俺がいて、父と慕うほど信頼してくれる君がいる」
尊い縁が紡げた。それに応えられる俺で在ろう。
…エロスな雰囲気がないのは残念だがね! パンツは見たけどね!
さすがに、いや本当にね。一緒に寝ようとかはない。俺はそこまで自分の理性に自信はない。というか滅茶苦茶美少女ですし。
『お父さん、一緒に寝ませんか?』
こ、断れないぜ。出来れば言われない事を祈っていよう。
「それだけの事だ」
「とっても素敵なそれだけですね」
噛みしめる様に呟いていた。ぎゅっと五月雨が強く抱きしめてくる。抱きかかえながらも、俺も抱きしめ返した。
「うむ。――この世界に生まれてくれてありがとう」
「えへへ。私を見てくれてありがとう」
「「……」」
互いに沈黙が流れていく。心地良い時間だった。
なんだろう。やっぱり、ちょっと真面目すぎると言うか。いや本当に五月雨も健気なんだよなあ。
白露型の娘達で、最も俺に似ているのは五月雨。というと語弊があるけどさ。
運命の理不尽さ、物語染みたナニカを感じているのは、五月雨だった。
しっかし、俺が父親ねえ。全ての艦娘にある種の父性は抱いているし、それはそれとしてどスケベだけども。
――良い。素直に感じたのはその感情だった。
『お父さん、私この人と一緒になります!』
うびょろげぼろろろ!! は、はあ、はあ!
い、いつか嫁に行くんだよ!! 世に生きるお父さん達はすげえよ。本当にすげえ。
良いだろう。パ~パな関係も楽しそうだが、お父さんと呼ばれるのも最高に良い。
さあ、そんな日常を続ける為にも戦争に勝利しようじゃないか。