いちゃいちゃ大好き提督日常   作:ぶちぶち

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軍神蹂躙…ではないです

 意識が、切り替わる。久しぶりだ。この段階まで意識がぶっ飛ぶのは久しぶりだ。もう声は聞こえない。感情が上限を壊した。

 殺す。脳みそが膨張する集中力が一気に凝縮されて、一つの目的へと最適化される。

 

 川内が改二へと変わった。皆の枷を外していく。魂が同調していく。彼女達が重ねた戦闘経験に寄り添い、俺に刻み込まれた激戦の経験を合わせる。

 限界を超える必要はない。徹底的に無駄を殺す。無駄をなくす――相手を殺す為だけになる。

 

 指揮する力で艦娘達を支配していった。強制力で操った。

 夕立も改二に至る。時雨、龍田は変わらない。改になるだけだ。元々改二に至っていた者を除き、激的な変化はない。今は要らない。

 戦場を俯瞰する。位置関係を認識しろ。

 

 前方に雷、電、暁。その前で庇うように天龍。それすら庇って響。その先だ。軽巡が二体、内一体はflagship。駆逐は二体。数は同等。響が何体か仕留めたのだろう。

 響、響…中破している。もう少しで大破していた。

 

 大破した先は? ああ。殺そう。

 天龍達が応援に気付いた。彼女たちが声を発する前に、意識の乱れで応援の感知を認識する。声は消失している。

 意思の光を視認するんだ。音より光の方が速い。最適化している。

 

 天龍達の意識が後退へと流れた。素晴らしい。訓練の成果だ。

 それを、敵艦隊が邪魔しようとした。殺気。砲撃のラインが見える。

 川内改二が牽制の砲撃を実行。相手の砲弾を狙ったように逸らす一撃。狙い通りに砲弾を弾けた。響達に一点のダメージも許さない。

 

 川内と龍田をやや前方よりに配置。川内の左後方に時雨、龍田の右後方に夕立が配置した。

 絶対に、後ろに攻撃は通さない。何より一瞬で殺してやる。冷静に脳みそが流れる。最適化している意識――声が届く。

 

『提督、笑って』

 それは無理をした声だった。当然だ。何故当然なのだろう? 俺が、繋がる先を支配しているからさ。

 この透き通るような、凜とした声は誰のモノ。覚えている。

 

 俺が、響に次いで付き合いの長い相手と言ったのだろう。

 夜に微笑む優しい彼女の名前を思い出せ。

「…川内?」

 そうだ。川内だ。川内と共に海へ来ている。彼女から流れて指揮を執っている。痺れる脳みそが意識を取り戻す。

 

『響もちゃんと逃げられた。貴方が憂う理由はない』

 本当に優しい声だ。楽しんでいる声だ。舞踏会へ誘う手が見えるよう。暖かく心強い。悪戯な微笑みも見えそうであった。

『だったら楽しみましょう』

 

 どくんと、川内の鼓動を感じる。俺の鼓動が重なる。適合率が上がっている。楽しんでいる。堪らない。高鳴っていく。

 良い。素直に好ましい感覚だった。

『ほら感じてよ提督。――夜が、夜が来る!』

 

 夕焼け赤は夜闇の紫へと変わっていった。静けさが深みを増していく。肌を撫でる冷気が心地良い。戦場に立つ緊張が弾けそうだ。

 ぴりぴりと神経が研ぎ澄まされている。夜闇を見通す眼が開いている。

 頬が緩んでいった。心底から楽しんでいた。

 

『私を見なさい。恐怖に竦んでたらもったいないよ』

 からかうような言葉は、愛おしき優しさと共に。

 誘うような想いは俺への親愛が込められていて。

『楽しみましょう。素敵な夜、夜の戦いと言えば?』

 

「…川内の見せ場だな」『その通り!』

 満面の笑みを見られない事が、堪らなく口惜しい。川内らしい。とても楽しそうな満開の笑顔が見られただろうに。

 帰ってきてから見せてもらえば良い。愛しき日常で味わえば良い。

 

「川内、ありがとう。やはり夜戦は、川内がいないと始まらないな」

 戦いを楽しもうなんて久しぶりだった。夕立との時とも違う。勝つか負けるかが混在する戦いで、楽しむなんて初めてか?

『当然よ。そんなに褒めなくっても大丈夫!』

 

 鼻高々な川内らしい反応だと思う。何故だか妙に懐かしい。彼女が、こういう言葉をかけてもらいたがっていた様な気がした。

 ふふ。良い。良いね。楽しもう。良いだろう。

「それじゃあ」『ええ』

 

 おそらく互いに笑い合いながら、心底から楽しみ合いながら。言葉を紡ぐ。

「『素敵な夜を』」

 響く声色は魂へと響き合い。挑む戦場への高揚を味わいながら。

「楽しもうか!」『楽しもう!』

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