目の前には山と見紛う程のおっぱい。戦艦大和に匹敵する程の巨乳。制服に包まれし二つの胸は、触れる前から柔らかさを確信させた。
おっぱい。絶対に柔らかいって。ノーブラだって。
この間の思考は僅か数秒。神速の思考は軍神の証明か。
えっ? どういう状況? 揉んで良いの?
考えろ考えろ考えろ。これは安藤の罠かもしれない。巨乳大好きと言わせることで、俺のカリスマを落とす狙いかもしれない!!
でも断言するね! 巨乳大好き!!
そうして、思考の海に落ちながら天龍を見つめる。
まさしく自然体であった。仄かな紅顔もなくなっている。照れは感じられない。…俺のがちおっぱいがそれで良いのか?
否! 断じて否!! 俺は絶対に妥協はしない!
「――お前は間違っている!!」「えっ!?」
威風堂々。迷うな。魂で説き伏せろ。全力を見せてやる。
「女子のおっぱいと言うものは、そんな気軽に触れられるモノに非ず!!」
学生時代の甘酸っぱい青春、大人になってからのほろ苦い恋愛。恋、愛を重ねて、或いは偶然でも良い。奇跡でも良い。
おっぱいってのはそういうもんなんだよ!! 当たり前にあったら駄目なんだ!! 俺はそんなモノを求めて、ここまで戦い続けてきたんじゃない!!
「お、おう?」
困惑している彼女の魂へと、本気で言葉を紡ぎ上げる。
「神聖不可侵にして絶対隔絶。心許す恋仲にのみその資格が与えられるのだ!!」
だから良いのだ! というか、ただ触るだけなら風俗に行く!! そうじゃない。そうじゃないだろう!!
「恥じらいなきおっぱいなど唯の脂肪也!」
そんなわけねえだろうが!! 俺だって揉みたいよ!!
でも、でもさ。駄目じゃん。揉んだら駄目な感じじゃん! くそっ!! 俺がリア充だったら、陽キャだったらいけたのに!
絶対に勃起する。揉んだら勃起するんだ! くそっ。くそっ!!
「それに触れさせようなどと笑止千万!! 片腹痛いわ!!」
せめて表情には出さずに言い切った。断言した。
この言葉を受けて彼女は。
「……ぷっ、く、ふふふ」
耐えきれないとばかりに体を折りながら。
「はっはっは!!」
全力で爆笑しやがった。
狙い通りだけども。…うん。天龍はこうして笑っている方が美しい。重苦しいのはな。似合わなあいとまでは言わんけども。
でもやっぱり、天龍はバカみたいに笑っていてほしい。
「高々胸の話で面白すぎだろ!」
だって俺童貞ですし。ちゃんとおっぱいを揉んだこともないし。
「滅茶苦茶真剣な顔で! しかも迫力のある声で…!」
体を震わせている。どんだけ楽しかったのだ。
「だっはっは! ぶっ、はっはっは!!」
腹を抱えて大爆笑してやがった。