「創とのを想像してみたけど、吐き気の方が先にくるし」
龍驤とのエロスか……おええ。吐き出しそうになってしまった。何か違う。違和感が酷い。いや、確かに魅力的だとは思うぞ。
客観的に見れば美少女だろうさ。でも違う。
「男として恥ずかしい限りだ」
だが実際、龍驤から言い寄ってきたらどうだろう。う~ん。嬉しいような悲しいような。本当にそんな感じになってしまえば、少なくとも今の俺ではいられない。
お互いにナニカが壊れなければ、そうはならんな。
「ああいやいや。魅力的な男やとは思うで」
フォローしてくれている。ありがたいね。
「顔も整ってるし、性格も良い。なんやかんや気も合っとる」
俺の顔って整っているのか? まあひいき目もあるだろうな。うん。
母親が子供をイケメンと言うような。そんな甘い眼で見てしまうのだ。
「ただ、相棒であり手のかかる家族なんよ」
大分世話を焼いてもらっている自覚はあるがね。
「って真面目に語りすぎや」「そうだな」
茶化すように笑いつつも、真剣な表情で彼女は続ける。
「何にせよ。平和になって人として生きて、誰かと愛し合う時」
それこそが俺の悲願である。いい加減、萌え萌えの日々を送りたいし、かつての仲間達にも送ってほしい。
「うちは女っぽくないからなあ」
「…それを魅力と思う良い人と繋がると良い」
別段、巨乳好きが殆どではあるまいよ。龍驤の抱擁力はロリコンには通用しないが、母性を求める者は絡め取れる。
何より、彼女の良さを分かる人間ではなくては、愛し合う意味がないと俺は思うがね。龍驤がくすぐったそうに微笑む。
「いるかな?」
「絶対にいるよ」
なにせ、そんな物語を読んだ事があるんだ。確かにそんな艦これも存在してくれたんだ。故に断言しよう。
龍驤の大きさを愛する者は絶対に居る。
彼女は幸せになれるんだって、他ならない俺だからこそ宣言出来る。
「ふふっ。決戦に赴く前もそやったな」
ああそうだ。敗北エンドなんて真っ平御免だ。勝ちたい。勝つんだ。絶対に勝ってやるんだ。
「確信してる顔で、そう在ってもええやろと言いたげな顔で」
色んな物語を見たからな。俺は諦められない。絶対に妥協はしない。
「創はいてくれるんやな」
楽しそうに笑ってくれた。いつもの龍驤の雰囲気に戻った。
「――よっし。元気出た! ばりばりいってみよう!!」
「その意気だ」
落ち込むなとまでは言わないが、落ち込む姿は似合っていないとは思うぞ。うん。こうして馬鹿みたいに笑える強さこそ、最も彼女らしい。
元気になってくれて良かった。
「やから創も、しっかりと己の心に従うんやで!」
…そう、だな。そう在りたいがね。
「ん。約束する」「ええ子や!」
いつも通り快活に笑う龍驤と共に、のんびりと時間を過ごしていった。