いちゃいちゃ大好き提督日常   作:ぶちぶち

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暁さんとの
怒りの暁初対面です


 天龍や龍田との、刺激的すぎる一日が終わり。

 さすがに今日は心の平穏がほしかったので、秘書艦は響にお願いしようと思っていたのだけれど。

『すまない。…少し考えたいことがあってね』

 

 と、拒絶されてしまった――拒絶されてしまった!!

 うわああん!! ぜ、絶対抱きしめたからだ。抱きしめたからだろうさ!! でも、それ自体は拒まれなかったよな。

 う~む。ならばどうして、秘書艦を断ったのだろうか。

 

 顔は、赤かった気がする。初対面の時みたいな、世界すら拒む冷徹な表情でもなかった。

 照れた様な、愛らしい姿だった。滅茶苦茶可愛かったなあ。

 抱きしめるのを我慢出来た俺が素晴らしい。

 

 いやでもどうだろう。抱きしめたら、案外応えてくれたのではないか。引かば押せという境地だったのではないか。

 執務室にて考え込んでいると。響が手配した誰かのノックの音が聞こえた。…考え込むのは止めにして、とりあえず今日を過ごそうか。

「入ってくれ」

「失礼するわ」

 

 そう言って入ってきたのは、暁型の一番艦・暁であった。

 長い黒髪と灰色がかった黒目の美少女。響と同じセーラ服に身を包み、黒のストッキングが眩しい女の子だ。

 堂々と背筋を伸ばした姿は、暁の気の強さと凜々しさを感じさせる。

 

「暁」

 話しかけると。

「がるる」

 牙を剥いて威嚇してきた。レディがそんな顔をして良いのか?

 

 初対面から畏れられているのは慣れているが、敵意を向けられるのは初めてだ。そうやって警戒する暁も可愛いがね。

 こう。暁相手には、割と真面目に欲情しない。

 穏やかな一日を過ごす相手として、最高の人材かもしれない。

 

 仕事能力は普段の報告書を見るに、あまりなさそうだけども。それを補って余りある癒やし効果があった。

 これが響の警戒だったら。

『…私に触れるな』

 

 なあんて――おぼろろ!! や、やばい。想像だけで泣きそうだ。吐きそうだ。実際、初めて会った時の響はもっと警戒していた。

 何より拒絶していたのだ。この程度の反応は可愛いものである。

「…そんなに警戒してどうした?」

 

「どうもしないわよ!」

 怒りの声。一応、軍神と呼ばれる俺に物怖じしていない。良いね。

「そ、そうか」

 しかしその返答は、どうもしている者の声に思える。

 

 さて。思い当たるのは俺と響の関係と、天龍への態度。この二つ位か。後は、さすがにないとは思うけど、龍田の尻を叩いた件であったり。

 何が影響して、暁を警戒させているのかね。

 

 それを知るためにも、今日も一日を進めていこうか。

「今日はよろしく頼むぞ、暁」「ふんっ。よろしくね…!」

 怒っていても挨拶は返せる。そんな暁との一日が始まっていく。


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