仲良く昼食を終えて、再び仕事に戻っていく。
そこからは大した会話もなく。ただ頑張る暁に触発されながら、いつもより気分良く仕事を片付けていった。
皆の頑張りを直に知れるからか。暁も、真剣な顔ながらも嬉しそうにしていた。
そうして夕方。そろそろ腹も減ろうかと言う所。彼女から提案してくれる。
「晩ごはんは私が作るわ」
これは下手に邪魔をしない方が良いだろう。手伝わない方が良い時もあるのだ。
「包丁で手を切るなよ」
「子供扱いしないでよね!」
ぷんすかと怒りつつ、少し嬉しそうに執務室から出て行った。
「…本当に期待通りの反応で」
それでいて大層愛らしいやつだ。天龍にも似ている。
愛される者として、日常でもありがたい存在だった。
「からかい過ぎて嫌われないようにしたいものだ」
ぽつりとひとり言が零れる位には、どうやら俺も心が浮かれているらしい。下ネタギャグも出てこない。リラックスしていた。
そのまま執務室で、彼女の料理を期待しながら待っていると、一時間が経過した。部屋に近づいてくる気配を感じる
「司令官~!」
扉越しに声をかけてきた。両手が塞がっていて開けられないらしい。
「ああ」
一言言葉を返してから、ゆっくりと扉を開ける。彼女が両手で持つお盆の上には。
「はい。暁特製ライスカレーよ!」
海軍の代表的な料理。カレーが乗せられていた。
机の上に料理を並べる。カレーライス、麦茶、ヨーグルト。もう最高だ。食べる前から美味いのが分かる。
が、喰わずに見ているだけなんてあんまりだ。
「「いただきます」」
食事を始める言葉を発してから、スプーンで一口。
「美味い!!」
甘口カレーの美味さときたら、最高である。スパイシーなカレーも好きだが、子供舌でね。こういう方が大好きだ。
うんうん。不揃いに切られた野菜や豚肉が、暁らしいじゃないか。火の通りは悪くない。楽しい料理だな。
「ほんと?」
窺うような姿だった。調理時間も考えるに、あまり慣れてはいないのかもしれない。
ならばと、迷わずに感想を伝えようじゃないか
「ほくほくとした芋。優しくほぐれる豚肉が最高だ」
豚バラ肉かね。とろとろとして滅茶苦茶美味い。にんじんも入れている。苦手だろうに、美味くしようとする心が見える。
これならば何杯でも食べられそうだ。ふふふ。何より美少女の手料理である。この俺が楽しめない筈もなかろうよ。
「料理上手じゃないか。作ってくれてありがとう」
「えへへ。まあね!」
本当に嬉しそうな笑顔だった。感想を言い甲斐のある子である。無邪気なのだ。素直な喜びに俺も嬉しくなった。
「おかわりもあるから遠慮はしないでね」
「ありがたくいただこう」