暁手製の料理をしっかりと味わいながら、二人で時間を過ごしていく。心地良い。初対面の時と比べれば、雲泥の差であった。
「美味かった。ごちそうさまだ」「お粗末さま」
すっかりと腹一杯だ。少々眠くなってくる。
ふふ。俺も随分と変わった。始まりは白露だったか。然程、長い月日は経っていないのに、もう大分昔の事に思えた。
白露のおかげで、柔らかくなれたんだ。そうして重ねた変化のおかげで、こうして暁とも柔らかな時間を過ごせている。
……終戦か。強く渇望していたけれども、違和感が酷かった。だけど、日常を過ごせていたんだ。大丈夫だ。大丈夫。
暁がいてくれるおかげで、ふと、姉妹であり俺の相棒でもある響を思った。
彼女との関係も変わろうとしている。さて。
ぼんやりと考え込んでいると、暁が呟く。
「…ねえ。司令官」
消え入りそうな声だ。どうしたのだろう? 無言のまま視線を向けると――凜々しく佇む暁の姿。
これは、真面目な話だ。彼女の大人な面が見えている。
「今日の私はわがままばっかりだったわ」
「かもしれんな」
感情をぶつけられた自覚はある。らしい、とは思うけれども。あの天龍でさえ初対面では敬語だった。
俺は嬉しいのだがね。
「上官に見せる態度じゃないし」
そう。軍隊としては少々問題があった。ただまあ、周囲に人間がいないのならば気にしないさ。
むしろどんとこいである。美少女の罵倒とかご褒美でしかないので。ふひひ。おっと。漏れ出てきた。
「罰があるなら構わない」
「俺は気にしていない。体面さえ保てるならば大丈夫だ」
それに終戦が訪れようとしている。軍隊も解体される可能性があった。ふふ。艦娘が人として受け入れられる様に、尽力する同期もいるのだ。
あのオタクは元気だろうか? …今は目の前の彼女に集中しよう。
「そうやって、司令官は受け止めてくれたわね」
暁は決心したように微笑んで頷いた。
「だから…信じたいの。信じられるの」
託すような、祈るような言葉だ。緊張が感じられる。
「暁?」
思わず問いかけると。
「司令官、響拗ねてるからね!」
真っ直ぐに想いをぶつけてきた。
「そ、そうなのか?」
響が拗ねる…可愛すぎないか? だってあれだろ。
『司令官、私をちゃんと構ってよ!!』
可愛すぎ~!! いやいや、マジで? ないだろう。そんなの萌えすぎるよ。だめだめエッチすぎます。
「もう! 大人なんだからしっかりしてよ!」
割と真面目に怒られてしまった。でもどうだろう。俺もかなりの付き合いと自負しているが、なにせ姉妹だ。
俺に見せない面を見せていても、不思議ではない。
ちょっとどころかかなり悔しいがね。さてはて。
「そんなんじゃ立派な紳士になれないわ」
ふふんと楽しげに笑っていた。
「暁みたいに、落ち着いたレディーをえすこーとしなくちゃ!」