「すけべなのに偉そうだぞ~」
にやにやと楽しそうにしている。だけど、どこか落ち着きも見られた。
「こらこら」
あえて茶化すように言葉を返すと。
「ふふっ」
花開くように海風が笑う。うん。良い笑顔だ。先程の誘う雰囲気も良かったけど、優しい微笑みの方が俺は似合っていると思う。
改白露型の妹達を、その素敵な微笑で見守っていたのだろう。
「その笑顔はすてきだと思うがね」
「え、っと」
顔を真っ赤にして俯いてしまった。言ってから気付いたけど、大した口説き文句であった。俺も真っ赤になりそうだ。
違うって。そういう意味じゃなくて。でも照れている海風萌え。本当に可愛い子だ。姉属性だけじゃない。妹属性も合わさっているのだ。
光と闇が重なり最強に見えるのだ。無敵である。
「格好良いこと言うね」
けらけらと笑われてしまった。さすがに恥ずかしい。
「からかわないでくれ」
「ん~? ふふ。そうだね」
本当に楽しそうな笑みである。可愛いからずるい。
「…本当に格好良いです」
海風は真っ直ぐに言葉を返してくれる。えっと。これはあれかな。惚れさせてしまったかな。か~モテる男は辛いわ~!
「お父さんみたいなんて。不敬でしょうか?」
あ、うん。そうだよね。そうなるよね。良いんだけど。別にハーレムとか、そういうタイプでもあんまりないんだけどさ。
やけに皆、俺を父親みたく捉えているんだよな。
父性があふれ出ているのか? まだ20代なのだがね。
「敬意がないというより、父と兄とかいてふけいだね。なんちゃって」
空気が冷たい。
「川内…」「川内さん…」
「二人して冷たい目で見ないでよ!」
川内にしては珍しく。顔を真っ赤にして抗議している。とても可愛い。こういう所が、彼女の本当に愛らしい所である。
「まあ川内程でなくてもだ」「お~い。提督~?」
ぺちぺちと背中を叩かれつつ、海風の目を真っ直ぐに見る。
これは、人としてというより。艦娘を束ねる提督として、軍神として伝えなければならない言葉。迷わずに言おう。
「思うがままに振る舞ってくれれば良いさ」
どう在ろうが、全ての責任は俺にある。
「戦場で俺は公私混同はしないようにしている」
しないと言うより、出来ないと言った方が正しい。最善と思った手段を使ってしまう。迷いは許されない。
そこで迷ってしまうならば、かつて犠牲になった彼女はどうなる。
迷うな。俺は、置き去りにし背負ってきた命があるからこそ、絶対に迷いは許さない。
「迷いが完全にないとは言えんが――死ねと命ずる時もあるかもしれない」
これもまた本音だ。徹しきるには、俺には才能がないのだろう。
「恨み、焦り、憎しみは俺へ向けなさい」
その程度の事しか出来ないのさ。だから、役割だけは全力で全うするぞ。
「己を責めるな。ただ努力すれば良いと思うぞ」
「はい!」