お互いに、いつの間にか出来ていた更衣小屋で着替えた。黒のトランクスタイプの水着だ。傷痕が多い体だけども、まだ引き締まっていた。
さて。涼風を待たせすぎてもいけない。早々に小屋を出た。
そこで待っていたのは。
「おっ、さすがに良い体をしてるねえ」
にこにこと楽しそうに笑っている。涼風の姿。真っ白なビキニを着こなして、負けないくらい透明な肌が美しい。美乳、美脚。にひひと笑う顔が愛らしい。
髪はポニーテールにまとめたようだ。美しい。まじで。良いのか俺。
お、落ち着け。きゅんきゅんしている。なんて眩しい水着姿だ。無邪気な娘だと思っていたけど、意外とあると言うかね。
まじか。…幸せになってほしいなあ。何だろう。成長した娘を見た気持ちになった。優しさを受けたおかげだろうか。
「さっそく遊ぼう! へへ、涼風の本気見せたげる!!」
彼女に手を引かれて、この世界ではとても贅沢な海遊びが始まった。
「それ!」「うぉ!?」
さっそく海水をかけてきた。無邪気な遊び方だ。海水が心地良い。
「やったな…!」
彼女の手より遙かに大きな俺の掌で、水をかけ返した。
「きゃ~!」
くすぐったそうに楽しんでくれた。楽しいぞ。これ、楽しいぞ!
遙か昔、リア充共のこんな遊びが欠片も理解出来なかったが、こうして楽しい相手とやると、凄まじく良い気持ちになれる!
ふ、はは! 海水が、ちょっ、意外とエネルギーがあるというか、割と勢いがすごい!
「楽しい。な、提督!」
「ああ」
ただ全力で海水をぶつけ合っているだけなのに、本当に楽しかった。
小一時間海水で遊んで、また砂浜に戻ってくる。ぺたぺたと素足で踏む感じが良い。肌が灼けているようだ。
「素足で踏む砂浜が堪らん」
「夏の醍醐味だねえ」
ぼけ~っとしていると、また彼女から手を引いてきてくれた。
「ちょっと泳ごうよ」
段々と海の深い所に進んでいく。俺の腰くらいの深さだ。涼風は胸くらいの深さである。仄かに浮かぶ美乳が美しい。
姿勢をするりと変えて、軽く泳いでいる。滑らかな動きだ。
「泳ぎが上手じゃないか」
「艦娘だからね」
ぷかぷかと海面に浮かんでいる。艦娘の力ではなく。力を抜いた自然体だった。背泳ぎの姿勢である。
「普段海に浮いているから、泳ぎは下手なのかと思っていた」
「そいつはないさ。他の子は分からないけど、涼風は好きだよ」
くるりと姿勢を変えて、クロールの体勢。俺の視点からは尻が見える。ぷるりとした愛らしい尻だ。子供らしく、はりのある小振りな尻だった。
「ふふふ。本気の泳ぎ、見せたげる」
音もなく滑らかに泳ぎを始めて、俺の周りを一周してくれた。再び立ちの姿勢に戻る。疲れた様子も見えない。
「滑らかに泳ぐ。余程泳ぎが好きなんだな」
「まあね。こうやって自由に遊べる海なんて、それこそ最近になってからだから」
遠征と同時進行で、ここの平和を安定させた。艦娘が遊べる海としては、唯一に近いかもしれない。
「休みの日は大体海遊びをしてるかな」
元気に泳いだり、案外静かに楽しんでいるのだろう。
「ま、疲れて寝てる時も多いけど」
どの日常を過ごしていても、彼女らしく爽やかで楽しいのだろうな。目に浮かぶようだった
「提督のおかげで、めりはり? って言うのかな」
にひひと楽しそうに笑っている。涼風らしい爽やかな笑みだった。
「遊ぶのがすっごく楽しくなったんだ」
俺も笑えているだろうか。応える様に、静かに微笑めた気がした。
「これが私。涼風の歩んできた道。楽しかったし、今だって全力で楽しんでる」
「これが君の」
涼風の歩む、愛している日常なのだ。他の子達と遊んでもいるのだろう。白露型の姉妹達からは、彼女の元気な遊び姿は聞いていた。
「提督はどう? 涼風の本気、楽しめてる?」
「…肌を撫でる海が心地良い。追いかけっこも楽しかった」
彼女の流儀に付き合って、全力で楽しみ切れた。まだ一日は終わっていないけど、この先の時間も楽しみだけど。
今が、終わるのが名残惜しい位に楽しんでいる。
「昼飯も美味かった。汗を流してのラムネは最高だったぞ」
素直な感想を真っ直ぐに伝える。そうすると、楽しそうに俺の肩を叩きながら。
「提督も分かってるねえ! 海遊びの後は、冷えた麦茶も持ってきてるからさ」
涼風らしい真っ直ぐな好意を伝えてくれた
「最高だ」
二重の意味を込めた言葉に、彼女はおそらく気付かないけれど。
「よっし! もっともっと遊ぼうか!!」
全力で、遊びに誘ってくれていた。