久々に泳ぎを楽しむ。海の中が心地良い。滑らかに泳ぐ涼風を観ているだけで、それもまた面白い。
ああ。良いな。良い時間を過ごしている。
海の水は太陽で温く。だが心地良い。涼やかな時間を与えてくれた。
一際大きな波が流れた。顔も頭もずぶ濡れになって、目と目が合った。示し合わすように微笑み合って、ゆっくりと海中から浜辺へと戻る。
ぶるりと涼風が身震いした。舞い散る飛沫も美しい。そうして、持ってきた袋へ歩を進める。袋の中からタオルを二枚出した。
片方を俺に渡して、簡単に水気を拭き取ったようだ。俺も渡されたタオルで体を拭く。海水のべたついた感じこそあるが、随分と楽になった。
後はシャワーでも浴びれば、もっと良くなるだろう。
「本当に用意が良いな。ありがとう」
「んんっ。涼風の本気、楽しめた?」
にこりと笑ってくれた。愛らしい子であった。ふふふ。海が俺を浄化している。ほぼ下着姿みたいな水着を見ても、性的に興奮していない。
これが賢者モードか。違う。父性である。
「最高だったぞ」「へへ」
砂浜に座り。のんびりと時間が流れていく。段々と日が落ち始めて、薄らと赤らんでいた。心地良い。夏の美しさだ。
これが紫色に、夜闇の色に変わっていく。色彩が目に良い。
「こういう時って、スイカ割りが定番だよね」
「持ってきたのか?」
「いやいや。さすがに入らないって」
さすがにスイカは用意していないようだ。困った様に微笑んでいた。
「それにスイカ割りは皆でが良いもんさね」
ああいう遊びは、大人数でやるから盛り上がる。いつか皆と遊べたら良いのだがね。これからどうなるのやら。大分、気持ちは楽になったけども。
最近エロエロスイッチと言うか、俺の本能が落ち着いている。
ふふふ。良い事なのだろう。こうしていても、ふと心のどこかで響を思っているんだ。我ながら重症であった。草津の湯ですら効かないのさ。
「ふ~いい汗かいた。次はいっしょに風呂だな!」
あまりにも迷いなく言っていたので、きっと俺の聞き間違いだろう。聞き返そう。
「それはさすがに」
「なんだいなんだい。涼風との風呂は嫌だって?」
ばしばしと背中を叩いてきた。面白い反応である。海風や川風の感じとは違って、本当に爽やかに誘っているんだ。
少し考えすぎたか。やはり俺は変態なのだろうか。いや、今回は俺のせいではない。風呂はいかんよ、うん。
「は~寂しいねい。こんなに遊んだってのに。水臭いじゃないか!」
泣き真似までして、本格的にからんでくる。
「ああいいさ。嫌ならいいとも。はああ」
本気ではないけども、わりと落ち込んだ姿を見せている。ここまで遊んでくれたのに、確かに冷たい言葉だったか。
「分かった、分かったよ。俺が悪かった」
お手上げとでも言うように返してみると、嬉しそうに目を輝かせてくれる。
「じゃあ…!」
わくわくとした彼女へと。
「よければ俺と風呂に入ろうじゃないか」「おうさ!」