「ならば、絶対に轟沈するな」
「へえ?」
彼女の困った様な笑顔。響らしい。静かで優しい感情の色。
「後方勤務。それも資材管理の遠征ばかりだからと、油断は絶対にしないでくれ」
転生者の運命は物語を運ぶ。嫌って程、実感させられた理。
こうしてパンツを見る事に、心血を注げる俺でいたいのだけれどな。
「信頼出来る不死鳥として、生き残り続けてくれ」
「…まったく。日常のやり取りで、硝煙と血の臭いを思い出させるなんて」
呆れて微笑んでいた。でもね。ここでパンツと言えたら、今の俺はないと思うの。
ほんとね! 自分でも嫌になるんだけどね!! …こっからだから。パンツはここからだから。――ここからだ。俺の戦いはここから始まるんだ!!
ふふふふ。無駄にカッコイイ声で決めてみた。響には言えないけどな!!
「悪い」
無粋なやり取りである。此処でしていい発言じゃない。
ここに着任してからは、こんな言葉は言わなかったのだけど。
一大決心を終えたからか。妙に戦場の残り香を感じていた。
などと真面目に考えつつ、どうにかしてパンツを見たいのだけど。見たいのだけど!
手立てがない。自分の臆病さは自覚している。ふっ。我ながら嫌になるぜ。
格好つけている場合でもない。いや、パンツを見る場合こそありえないけども。
「ふっ。先にからかったのは私の方さ。――良いだろう」
響が静かに立ち上がって、机を挟んだ対面まで来てくれた。
仄かに彼女の匂いを感じる。あ、やばい。ちょっとたちそう。落ち着け。
俺も立ち上がる。真っ直ぐに、響らしい透明感の強い眼に見つめられながら、彼女は堂々と、冷静に響くらしい音色で。
「私は貴方の側に居続ける。この名に誓うよ」
湖のように澄み渡る声。何の気負いもない。当たり前に語られた内容。
ただその言葉に込められた想いは。ああそうだ。俺だけのモノ。
いつか、いつか彼女も他の最愛を見つけるかもしれない。
俺だって、馬鹿な日常を過ごしていく内に、愛する人を見つけるかもしれない。
だけど。それでも。
俺だけだ。俺だけが、彼女の誓いの声を知っている。
神聖な宣誓をしてくれたんだ。あ、うん。まだちょっとシリアスが重いというか。言った俺も悪いけど、鋼の臭いがすると言うか。
もう良いだろう。馬鹿をやらせてくれ。
でも、胸の暖かさは言葉にしたくて。
「ありがとう」
素直な思いを告げた。彼女が照れたのか。帽子を深くかぶり直して、仄かに赤面しながら言う。
「やれやれ。少し湿っぽくなったかな。何かお腹に入れたら、ゲームでもしようか」
「ふむ」
もう午前十時だ。正午には早いが、朝食の時間を考えれば腹は空いている。
いつも通りおにぎりにしよう。今日こそ夜は食堂に行くんだ。楽しみを高める為にも、今は質素な感じで我慢する。
ふっふっふ。間宮食堂のごはんが楽しみだ。エロエロだけじゃない。
俺は世界を楽しみきりたいのだ。どんな味がするんだろうな。
「脳内将棋でいいかい?」
「ああ」
頭の体操にはちょうど良い。どうにかして、パンチラを拝むんだ。