あ~もう! 胸がもやもやしてきた。大体、私は夜戦さえ出来ればそれで良いんだ。
思い悩んだりとか、ほんとは甘い位優しいのに鬼になる神通。
皆の笑顔が大好きで、道化みたくなっても変わらない那珂。
二人の大切な姉妹と違って、私の在り方はただただ真っ直ぐ。
夜戦。夜が私の生きがい。変わり者だとか色々言われたり、艦種が影響して後方送りになったりしたけど。
私は何も変わらない。でも提督は、提督は違うんだ。
軍神。神、とまで謳われたこの人は何を求めているんだろ。
きっと適正は戦いにあるんだと思う。それだけ話は聞いているけど。ううん。
「またせた~」妖精さんが軽い感じで料理を運んで来てくれた。
よ、良かった。これ以上はちょっと体が保たない。圧力も酷いし。
あんまり考え込むのは好きじゃないんだ。
さあて。今日もおいしいごはんを食べて、元気に夜戦といきましょう。
「「「いただきます」」」
同時に声が出た。なんか少しこれも気まずい。提督になんだコイツって思われてないかな。あ、響がちょっと嬉しそう。ほんわかした。よしよし。
早く食べて夜を楽しもう。…ほんのちょっとだけだけど、もったいないとは思う。
けどねえ。敬意はあっても、私たちからは近寄れない。うん。これも素直な――!?
「ほら司令官。あ~ん」
時が、時が止まるというのはこういう事を言うんだと思う。
え、いやいやいや。えっ? ひ、響さん?
なにがどうすればこうなって、え、いや。
落ち着こう。落ち着くんだ。夜。そう今は夜に近づく時間。私の調子も徐々に上がってる。頭の歯車はよく回る。絶好調に近い。
認めよう。数年間の艦娘生活の那珂で、那珂は今関係ない。すっこんでて。
中で、最上位に位置する修羅場と言える。良いよ。認める。認めるよ。
今私は! 間違いなく驚愕している!!
心の震えを体には絶対に出さず。せめて表情だけでも取り繕え。
冷静に状況を分析するんだ。今からここは夜戦だ。
つまり生きるか死ぬかの極地に他ならない。
さあて。やりましょう。
響が、提督にあーんをしている。銀色のスプーンにシチューを一口すくって、差し出している。彼女に照れはない。当たり前。そう言い切る表情。
所謂食べさせてあげる形。なるほど。状況は理解した。次は提督の様子。
っ!? ここに至っても無表情。へえそうなんだ。さすがは軍神といった所かな?
どうやら、私が想像していたより提督は強い。状況に揺れていない。
ふふっ。ふ、ふふ。あばばば。もうわけが分かんない。