川内に誘われるままに、俺は彼女達三姉妹の部屋へ招かれた。
「提督、入っても良いよ~」
先に入室していた彼女が声をかけてくれ。軽くノックをしてから、扉を開いた。
二段ベッドに、畳まれた敷き布団が一つ。川内が好む漫画が、本棚に整頓されて並べられていた。おそらく神通のおかげだ。
詳細は知らないが、おそらく女性アイドルのポスターが壁に貼られている。
川内の本棚とは別に、また一つ本棚がある。戦術本や、意外にも子犬の写真集など。愛らしい本も見られた。
どことなく良い匂いがする。川内の静かな香りや、仄かに花のような。自然な甘い匂いがする。…変態な感想だった。
軽巡三名の部屋だから、多少広めである。少なくとも、俺が入った程度では手狭と感じない。
「邪魔をする」
そういって入室すると、待ち構えていた二人が起立して。
「あ、あの! 今日はよろしくお願いします!」
「提督、よろしくね」
入室した俺へ挨拶をしてくれた。川内型姉妹艦の内の二人。神通と那珂。
どことなく気弱だけど、戦場では誰よりも凜とする神通。明るく無邪気で、誰かを楽しませようと動く那珂。タイプの違う二人だが、どことなく雰囲気は似ていた。
「よろしく頼む」
川内繋がりでからみがなかったわけでもないが、こうして腰を落ち着けて話した事はない。響に振られたショックも合わさって、妙に心が落ち着かなかった。
それはそれとして、三名とも楽な格好へと着替えている。
川内は黒色のパジャマ。どことなくネコを思わせるデザインだ。神通はオレンジの寝間着。愛らしい装飾なく。すらっとしていて、着心地が良さそうである。
那珂ちゃんは…無意識のうちにちゃんをつけてしまう。落ち着け。那珂は、神通と同じパジャマを着ていた。意外にも落ち着いている。
もっとフリルとかの装飾をイメージしていたが、そんな事もなかった。この世界線が鋼臭すぎるからだろうか。とりとめのない思考である。
「三人とも固いな~」
この中で川内が一番リラックスしていた。いつものにやにや笑みで、静かに座っている。尻に敷くクッションが柔らかさそうだった。
「姉さんが緩んでいるだけです」
そんな彼女の隣に神通も腰を下ろした。紺色の座布団だ。飾り気のない物が不思議と合っていた。
「ちょ、ちょっと緊張しちゃって」
そういって那珂は神通の対面に座る。愛らしいキャラのクッションを尻に敷いていた。…俺は、空いている那珂の隣へ座った。
敷物のクッションはない。床に敷かれたカーペットで十分だ。
はからずも川内と対面の位置だった。彼女を見ると目が合って、にんまりと笑ってくれた。可愛い。横を見れば那珂、斜め前を見れば神通。
女子会に入っているみたいだ。いや、みたいじゃない。
今俺は女子会にいるのだ。かつて願った事が叶ったのに、興奮していないのは何故だろう。
まだ心が弱り切っている。笑えるぜ。でも、また少しだけに楽になれた。川内のおかげだ。ふふ。いずれ恩を返したい。
「那珂はいつもみたいに歌でも聞かせてよ。アイドルなんでしょ」
「う~ん。提督、歌は嫌いじゃない?」
「賑やかなのは好きだ」
「きゃは! それなら那珂ちゃんのステージを楽しんでってね!」
そうして酒が混ざり。ただの馬鹿騒ぎが始まっていく。