いちゃいちゃ大好き提督日常   作:ぶちぶち

306 / 322
逃れられない想いです

 熱に浮かされたように頭が動かない。ぼうっとしてく。甘い匂いがする。熱を感じる。そうだ。俺の上に乗る川内の体温を感じる。

 俺の脇腹を挟む彼女のももの感触。不思議な位に感じる重みは軽かった。じわじわと脳みそが現実を認識していく。

 

 今、俺は川内と情を交わそうとしている。匂い立つほどに膨れ上がった、彼女の情愛が脳みそを融かしてしまいそうだった。

「だ、だめだ」

 絞り出すように、かすれた声で言葉を紡いだ。

 

 何の説得力もない。もう俺のものは痛い位に張り詰め始めていた。

 目が、彼女の瞳からそらせない。

 仄かに嗜虐的な、それでいて魅力的な笑みを浮かべて、潤んだ目で俺を見つめている。頬が上気していた。川内も緊張している。それ以上に興奮している。

 それは、おそらく俺も。

 

「どうして?」

 からかうような聞き方だ。脳が痺れてしまいそうだ。

「そういうのは好き合っている者達が」

「私は提督が好きだよ」

 

 なんて、なんて真っ直ぐな告白だろうか。相手にどう思われるかじゃない。格好付けだとかそんなものもない。

 熱く。ただひたすらに真っ直ぐな好意。返答出来ない。

「もちろんエッチな意味でもね」

 

 くすりと微笑んで彼女の言葉は続く。

「真っ直ぐな瞳で私を見てほしい」

 仄かに潤み熱情を孕んだ瞳が、俺の目を見ている。真っ直ぐに見つめてくれている。それだけで達しそう。

「安定した声でいじめてほしい」

 

 耳元でささやく声は俺の脳を犯し。混じりけなく甘みを残してくれた。心臓が爆ぜそうだった。

「優しい熱を重ね合いたい」

 川内が上体をかがめて、俺を抱きしめる。

 

 胸と胸が合い、頬と頬が触れ合っている。心臓の音がうるさい。お互いに。伝わるほどの距離で抱きしめられている。

 壊れてしまいそうな、そんな彼女の体を抱きしめ返してやれない。

 

「武骨な掌で私の中をいじってほしい」

 ああ、もうなんだろう。俺はエロい夢を見ているのだろうか。夢精か。あほう。リアルすぎる。どくどくと熱が伝わっている。

 川内は俺に本気なんだ。俺なんかに本気なんだ。

 

 胸が張り裂けそうな切なさ。壊れちまいそうな程感情が高ぶっている。熱い。気絶しそうな程に血が燃えている。

 これが本気の想いだ。俺は、俺は。

「提督の、創の男で私の女をかき乱してほしいんだ」

 

「ぁ、あっ、えっと」

 間抜けな言葉しか返せなかった。川内が少しだけ顔を浮かせて、至近距離で見つめている。

 長い睫毛。彼女の黒髪が頬に触れた。そんなに近い。近い。もう狂いそうだ。

 とっくに狂っているんだろうか。

「……キス。したい。んっ」「んんっ!?」

 

 くちびる同士が融け合った。触れ合った。柔らかくて、でも奥に歯の感触もあって。滑らかに触れあい離れていった。

 これは、あれだ。あれだよな。どれだ。経験ないし。いやあったっけ。こんな衝撃はなかった。滅茶苦茶想いが届いてきて。

 

 俺を愛している川内の想いが届いた。

 そうだ。えっとこれはその、あれ、そう。うん。――キスだこれ!!

「あはっ! こんなに良いものなんて、信じられない」

「せ、川内…それ、えっと。大切にしないと」

 

「大切だからしたんじゃん」

 もっと上体を起こしまた馬乗り。固まった俺の右腕をとって、掌を自らの胸に押しつけた。

「鼓動が掌に伝わってる? これだけドキドキしてるんだよ」

 

 す、すごい柔らかい。えっと、その柔らかいです。本当に柔らかいです。

 めちゃくちゃ心臓の圧が、掌に伝わっている。でも柔らかいです。布越しなのがとても窮屈で、もっともっとと心は望んでいる。

 

 正直に言えば、本当に酷く正直に思えば、今ここで滅茶苦茶に彼女を抱きたい。川内と、エロいことをしたい。

 その心に嘘はない。でもそうじゃないと叫ぶ俺がいる。

 そうじゃ、ねえだろう。いつもみたく、相手に好意がないから、そういう想いじゃないからと逃げられない状況。ここで逃げれば、確実に川内が傷つく。

 

 彼女が、自らの貞操を大事にしていないわけがない。

 ここまで酔う状況でも、川内から仄かに緊張すら感じるんだ。それでも、俺を求めているんだ。求めてくれている。

 

 ならば何を拒む。応えれば良いだろう。エロエロ、萌え萌えを求めてここまで頑張ってきたんだろうが!! 必死こいてゲロ吐きながら、諦めなかったんだろうよ。

 

 それは誰と? 俺の心は、本当に俺が求めているのは、狂っちまいそうなほど想っているのは誰だろう。

 日常の萌えは得られた。愛おしい艦娘と触れ合えた。でも、こうして壊れそうな熱を交わし合いたいと願ったのは。

 

「…本気で止めないと止まってあげない」

 挑むように、答えを分かりきったように。それでも諦めないと、全てを愛していると夜に輝く川内らしさで。

「貴方の本気を聞かせて。貴方のやりたい事を教えて」

 迷う俺へと言葉を紡いだ。それが何を意味しても、後悔なんてないと笑っていた。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。