朝。窓からさしこむ日差しで目を覚ました。隣で眠る彼女を起こさないように上体を起こした。静かに目を向けると、穏やかに寝息を立てて響が目を閉じていた。
脳がはじけた。物理的にではない。心が破裂していた。
「ふう」
叫びたい衝動を無理矢理に押しつけた。今にも腹の底から雄叫びを上げそうだ。
やべえ。幸せすぎてとろける。彼女が昨夜、俺の下で喘いでいたんだ。
初めての快楽に身をよじらせ、深く深く絶頂していたんだ。最後は許しを求めて気絶していた。
「やりすぎたか?」
しっかし最高だった。最高すぎた。案外大したことないと思うかも、なんて軽い気持ちで考えていた時の俺を殴りたい。
まじでやばい。幸せすぎてやばい。
ふう。――滅茶苦茶集中力が高まっている。
脳みそのストレスが外れていた。脳内麻薬が異常な密度で出ている気がする。多幸感が全身に広がっていて、なにかしたくて堪らなかった。
エロい意味でなく。そう。若さ。活力を取り戻している。今の俺は限りなく完璧に近い。素手で深海棲艦を殴り殺せそうだった
などとふざけた事を考えていれば、ゆっくりと響の眼が開いた。アクアマリンもかなわない程に綺麗な水色の瞳は、深く熱い愛情を灯している。
それだけで幸せだった。昨夜は快楽で潤んでいたのも最高だった。
「…おはよう」
「ああ。おはよう響」
彼女も上体を起こし、一つのベッドで二人座っている。恥じらうように毛布で体を隠した。響は下着すらつけていない。
昨日の熱を思い出して、段々とまた鼓動が早くなってくる。昨日の激しい感じも大好きだけど、この、情事の後の切なさも堪らんぜ。
余韻に浸っていれば響と目が合った。彼女が本当に柔らかな微笑みを返してくれた。思わず俺も表情がゆるゆるになってしまう。
「昨日は、その。ありがとう。俺の人生で最高の夜だった」
素直なお礼の言葉が響へ出た。本当にありがとうであった。
「ん。私も良かった」
えっ!? むしろエッ!! いや辛抱堪りませんわ。こんな幸せで良いんですか!?
「んっ」
響からキスをされた。軽やかにふれる淡い口づけだった。
昨夜、脳に刻みつくほど嗅いだ響の香りがふんわりと伝わる。愛おしい。ほう、っと落ち着く匂いだった。
ゆっくりと淡くキスをして、そっと彼女が離れていく。
「ど、どうした?」
心臓が破裂するかと思いました。はい。しょうがないね。
「可愛い顔をしていたから、我慢出来なかったのさ」
照れた様に笑った。そんな風に言う響の方が可愛いんだが。どうしてくれるんだ。もう俺のリトルボーイが爆発寸前だ。
むしろビックマムだ。わけがわからない。
「ふふ。また可愛い顔してる。ちゃんと司令官を出来るのかい?」
「問題ない」
艦娘の生死が関わる仕事だ。欠片も手を抜くわけがない。
多少色ボケしていようとも、執務に向かえば本気になれる。そう生きてきた。むしろストレスが消えて最高の気分だ。清々しい気分だ。
「その顔も凜々しくて好きだよ」
にこりと笑ってもらえた。むむむ。言われっぱなしは趣味じゃないぜ!
「俺も響の優しい微笑みが好きだ!」
「
冷静だ。そんな彼女は俺の前で乱れたんだ。俺の前だけで乱れたんだ。興奮してきた。
しかし、今の俺には理解できる。ここで誘って交わろうとすると、冷たい目で断られるだろう。響は真面目なのだ。仕事を投げ出して求めれば悲しませる。
それに俺も嫌だ。かつての戦友に助けられ、ここで出会った者達に支えられて今の幸せがある。守りたい。幸せに相応しい俺でいたい。
さあ今日を頑張ろう。仕事をしてから今夜もハッスルだ!