あれから川内とは上手くいったんだよ。うん。比較的だけども。
『提督。夜戦に行ってくるからね!』
なあんてニコニコ笑いながら、楽しそうに彼女らしさを見せてくれている。
随分と仲良くなった。彼女の明るい笑顔は、俺まで笑顔にしてくれそうだ。
からかいたい気持ちはある。夜戦ってそういう意味じゃないし! と怒られたい。
が! これ以上拒絶する艦娘が増えたら、俺の心が折れる!!
ただでさえ、友好的に接してくれる子が少ないんだ。
『…気持ち悪い』
なんて彼女から言われてみろ。ちょっと良いな。
侮蔑するような冷たい眼。見下ろすように静かな声での発言。
訂正しよう。
かなり良いな! なにが良いって、普段おちゃらけている彼女の目つきですよ。
まるで敵を見るような侮蔑の視線。そう言いつつも、頬を若干紅に染めて。羞恥と嫌悪が混じった声色で、俺の事を軽蔑したわけだ。
そこから。
『提督って。こういうのが趣味なんだ。変態』
などと言われてみろ! ほんまヤバいで!! 思わず龍驤が乗り移るほど。
ふう。
ただまあ、普通に嫌われたくないし。一時の快楽を求めて、彼女を傷つけるのも避けたい。つまりは妄想である。妄想は自由だ。
心を読める能力者とか、艦これ世界にはいなかろう。ラノベとか燃えゲーでもあるまいに。
それに、そろそろだったか。
川内から那珂ちゃんや神通とか。もう少しすれば紹介してくれそう。ありがたい。
響はいつも通り。俺の側にいてくれたり、鎮守府の業務をしてくれたり。好き。
いつも通りと言わせてくれる彼女に感謝を、これまでの時間に愛情を。
いやしかし。最近、何でかは分からないのだがな。
どうにも、響の世話になりっぱなしだと思っている。分からない。お互いに支え合っている自覚はあるし、依存している所もある。
そうなのだが、なんだろう。滅茶苦茶裏で支えてもらっているような。変な感覚だ。
むう。それも合って、思い切って長期の休日を与えたのだけど。
不安だ。なぜだか分からないけど、不安だ。そんなに依存していたか?
今更、彼女と仲を深める意識もなく。響が姉妹と上手くやれていれば良い。とさえ思っている。
そうして、彼女つながりで第六駆との仲を、むしろ中を。
『司令官なんて大っ嫌いだ!!』
「ごぼっ、げほっ、げほっ」
……血? 想像だけで俺は吐血したのか。然もありなん。仕方ないね。
などと血糊を使ってふざけている場合では。がちゃりと扉が開く。
見れば白露の姿。下を見ながら入ってきて、仄かに震える声が言葉を紡ぐ。
「提督。その、さっきはごめんなさ」
彼女が顔を上げた。真っ直ぐに俺を見て。あ、ヤバい。
驚愕に眼を見開いた姿。口も開けて驚きを示している。徐々に、徐々に彼女が事実を認識して。
「――提督!?」
慌てふためく白露の姿。やべえ。誰も入ってこないと思っていた。どうしよう。