白露が愛おしそうな顔で、姉妹達の話をしていく。
内容も興味深い話だったけど、そうやって語る彼女の表情こそ、何よりも眼福であった。
「成程。夕立はもっと元気な子なのか」
泣いて逃げたけどな。泣いて! 逃げたけどな! 裏を返せば、逃げられる程活発な証拠である。俺は泣いた。
「そうそう。提督の前だとかしこまってるけど、本当は無邪気な甘えん坊なの」
知っている。からこそ、今の姿が悲しいのである。
もっと来いよ! 駆逐艦で一番甘えさせてえんだよ!! 艦これで一番お世話になった駆逐艦だからな!! …一応言っておくが、いやらしい意味では決してない。
この世界でもカウントするなら、駆逐艦でお世話になったのは響である。
これは! いやらしい意味でもな!! 一人プレイだが!
「だから、出来れば甘えさせてあげてほしいな」
「ふむ」
出来れば所か、滅茶苦茶甘えさせたいんだって。
白露に言っても仕方ないけど、本当に甘えさせたいんだって。ほめてほめて、と来る彼女が見たいんだって!!
「時雨はね。いっちばん優しい子」
彼女が一番を譲る程だ。相当に優しい在り方なのだろう。
…白露型で最後まで生き残った艦娘。忘れない、と語る彼女の在り方は、この世界でも変わらずかね。ううむ。嬉しいような悲しいような。
二次創作であるような、ぶっとんだ性格であれ。とは言わないけども。
ちょっとずつでも明るくなってくれたら、俺も頑張る甲斐がある。
「皆を守るんだってがんばってる」
誇らしげな顔だ。自慢の妹達。優劣とは言い方が悪いが、時雨は最も自慢出来る妹なのかもな。そんな時雨は、白露に甘えられているのか?
分からない。まだ踏み込むどころか、逃げられる様な関係だ。
いや、時雨の場合は逃げたのは俺だった。だって儚いんだもん。怖い。
「村雨は日常を愛してる」
「ふむ」
「にこにこ笑って、皆と楽しんでるの」
そういった彼女の方がにこにことしている。可愛い。明るい笑顔だ。
きっと村雨も、そんな白露がいてくれるから、穏やかに笑えるのさ。
良いねえ。胸がほんわかとした。唐突に彼女を抱きしめたい。
泣かれそうだからしないけども、めっちゃ抱きしめたい。もう一回、おっぱいハグしてほしいぜ。本当にされたらどうしよう。怖くなってきたぜ。
うんまあ嬉しいけどね。反応に困るよね。
「春雨は丁寧な子」
えっ? 全員を語りきるのか。これだけの熱量で、全ての妹を愛しているのか。
…俺なんぞよりも愛が深く。いっちばん白露型を愛しているのは、目の前の彼女だ。これも良い。明るく愛しげな声を聴いていると、俺まで嬉しくなるぞ。
強い、優しい心が伝わる。本当に愛おしい子だ。
「そっと寄り添う静かな雨みたいで、愛らしい子」
見守る白露だってそうだろう。寄り添うと言うには力強いけどさ。愛らしい子だ。
「えっとね。もっと、もっと皆は良い子で」
まだまだ続く白露型の話。俺も聞きたいのだが、春雨とかは挨拶すら出来ていない。
「ああ。聞いている。聞いているのだがな」
俺としては、目の前の彼女と触れ合いたいのだ。心を伝え合いたい。
やらしい意味だけじゃないぞ。俺は変態だけども、真面目な時だってある。
「なあに? そうだ。お腹空いちゃった? ごはんにしましょうか。よっし。いっちばん早くあたしがとってきたげる!!」
ぴゅ~っと彼女が走っていった。可愛い。それは良いのだけど。
本当に姉妹が大好きなんだな。放っておいたら夜まで続きそうだ。
そうやって語る白露も可愛いけども。俺は、彼女自身の話が聞きたい。
せっかくこうしているんだ。衝撃的な事もあったばかり。
いっちば~ん! と嬉しそうに笑う姿。元気いっぱいなのに、愛情深い長女の在り方。
主観的で創、恐縮です! みたいな感じだが、俺は明るく笑う姿が見たい。
さて。それはそれとして――膝枕されてえ!