「俺は白露の事も知りたいんだが」
どんな時に笑うんだ? 何か良い事はあったかな。今君は幸せかい。
愛しい姉妹達といられて、幸福な日常を過ごしているのだろう。
教えてくれ。君達の笑顔が、艦娘の笑顔が好きだ。君達の輝きを見せてくれよ。
「あたし?」
「白露を知りたい。教えてはくれないか」
「うん。う~ん」
考え込んでいた。真面目に考えるのは良いのだが、もっと軽い話だ。
…歴史の話をされてもな。俺は萌えたいだけである。燃えは十分味わった。
「好きな食べ物は何だ?」
「おいしいの!」
満面の笑みでの回答。迷い一つなく。眩しい声で明るい言葉。
「ふふっ」
可愛すぎるだろう。思わず笑ってしまった。表情は変わってないかもだが、もっと情緒を示せるなら、大爆笑していたぞ。
「あ、提督笑った! なによもう。そんなにおかしいの?」
大真面目な顔で言った彼女のほっぺに、米粒がついている。
「ははは!」
最高だ。本当に愛おしい子。とって食べるなんてベタは出来ないけど。
良い。胸が萌えている。愛らしいぜ。可愛らしい。
「すっごい笑ってる!」
「くふ、ふふっ。ほっぺ」
「なによ…あ、ついてる!」
気付いた彼女の顔が真っ赤になって、俯いてしまった。
めちゃくちゃ可愛い。なにこの子抱きしめたいんだけども。落ち着け。
「い、いや。堂々とした言い草が堪らなくてな。そうか。白露は美味しい物が好きなのか」
「むう」
涙目で睨んでいた。俺の目つきと違って、彼女の澄んだ瞳では怖くない。
というか、萌え殺す気か? 完全犯罪だぞ。本当にもう。可愛い子だ。
「怒るな怒るな。そうだな。よし。とっておきを君にあげよう」
エロスな気分でもなし。日常を過ごしたくなった。膝枕はまた今度…とは言い切らないけど。全然諦めはついてないけどな。
自室からクッキー缶を取ってきた。長机の上に置く。ふたを開けてみれば。
「これは…お菓子だ!」
嬉しそうな大きい笑顔。それだけで作った甲斐もあろうよ。
にこにこと笑う彼女を目に焼き付けてから、紅茶を淹れてみた。手間暇はかけていなが、茶葉は良い物だ。それなりの味にはなっている。
「ありがと」
照れながらのお礼。怒ったり笑ったり、感情豊かでかわいいやつ。
「せめてもの謝意だ」
大仰に頭を下げてみた。白露がふふんと胸を張りながら。
「えへへ。なら許したげる」
暖かい声で言ってくれた。…不覚にも泣きそうだ。怯えられないって、こんなにも楽しいんだな。会話のやり取りって、心が温かくなるのだな。
泣きそう。別の意味で泣きそうだぞ。
「どこのお店の?」
おっと。落ち着け。俺が本当に泣いたら、この時間も台無しじゃないか
「俺が作った代物でな。店では買えないという意味では、最高級と言っても良い」
「ふんふん」
興味深そうに見つめながら、迷わず一枚食べてくれた。どうだろう。
「すっごいおいしいね! 提督って、意外な趣味があるんだ」
ふふん。ドヤあ! かなり努力したからな。大抵のお菓子と料理は任せてくれよ。
「暇つぶしの手慰みだよ。言ってはいけない事かもしれないが、俺の指揮は此処には要らない」
作戦立案能力と、大本営に対する影響力。後は事務能力。
此処は俺でなければならないが、俺の全てを燃やす事もできない。
川内が言った言葉だけど、飼い殺しとはよく言ったものだ。
ようやく待ち望んだ平穏も、やっぱり上手く付き合えていないからな。
「…ううん。それならさ。秘書艦は誰でも良いんだよね?」