いちゃいちゃ大好き提督日常   作:ぶちぶち

51 / 322
秘書艦の感想です

 集中を高めてから二時間程度。今日の業務はとっくに終了している。

 気合い十分に膝枕を目指していたが。無理だった!

 くそ! 俺はなんて無力なんだ…前二つが上手くいっていたから、過信していた。

 なんかこう、上手いこと膝枕が出来るんだろうなと思っていた。

 

 そうだ。乙女との触れあいは希少である。分かっている。分かっていた筈だろう。

 響のパンツを見られたから? 川内の頭をなでなでしたから?

 だから俺は、運命に愛されているとでも? ――バカが!

 幾重にも地獄を味わってきた。戦ってきて知ったことだろう。

 

 勇気のある一歩を踏み出さなければ、希望なんて得られないのだ。

 それはそれとして。秘書艦を頑張ろうと奮起している白露は、最高でしたがね。

 お茶を濃く淹れすぎたりとか、書類を書き間違えたりとか。やる気は十分。でも慣れていなくて、頑張る姿に萌えていたぞ。

 

 結局、いつもよりペースは落ちていたけど。楽しさは倍増である。

 響との仕事も好きだが、お互いに優秀だからすぐに終わる。味わっている暇がない。

「…仕事がない~!」

 涙目で嘆いていた。思っていたよりも遙かに早く、今日の業務が終了したのだ。

 

 ついでに言えば、響と二人で仕事をしていたのならば。

 そうだな。昼までには殆ど終了する。後は各々時間を使っていた。

 二人でゲームをしたり、川内が遊びに来たこともあったな。今日は彼女の気配を感じない。やはり来ない様子だ。

 

 響は姉妹と仲良くしているのだろう。長期休みを与えた甲斐もあろう。

 かなり寂しいし、何故だか分からないが滅茶苦茶心細い。それでも、響が楽しんでくれる方が嬉しかったりする。そんな感じだ。

 …いやでも、何でこんなに心細いのだろうか。

 

 第六感が激戦を予感している? 馬鹿な。ありえないとまでは言わないが、これだけ体制を整えたのだ。理不尽レベルの運命だろうと、何の対抗も出来ないとは思わない。

 ううむ。

「ねえねえ提督。普段はなにしてるの? 怒らないから教えて」

 

 その台詞を言っている時点で怒っているから、俺が何を言おうと怒らないだろうね。

 大体、聞いておきながら答えが分かっている様子だ。開き直って堂々と言う。

「基本的に遊んでいるな」

「私たちが~遠征とかで~頑張ってるのに?」

 

「ああ」

「……」

 無言のままジト目で見られている。照れるぜ。ジト目の白露も可愛いなあ。

「ずっと篭もりっぱなしだったのは、全部さぼってたの!?」

 

「いやいや。ここまで暇になったのは最近の話だ。今までは業務に追われていた」

 全力で処理していたのだぞ。人聞きの悪いことは言わないでもらいたい。

 その疲労解消もかねて、響に休暇を与えたのだ。俺も疲れは酷いけど、皆と触れ合いたいし。俺の代役は同期を呼ばないといけない。

 

 その上で言うのならば、俺の同期は俺以外代えの利かない奴らだ。

 羨ましいような、そうでもないような。案外物語視点は俺じゃないのかもな。

 精々が、意味深に呟く役柄である。或いは先達者として、世界の主役を導くとか。

「ようやく落ち着きを取り戻して、皆に関わろうと思っているんだ」

 

 いちゃつきてえのである。そうして挨拶から始めて、見事に砕け散ったのが俺だ。

 砕け散ったのが、俺だ。

「そもそも優秀すぎて、仕事が足りなくなってるのかな」

「ああ」


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。