自分で言っていて照れるが、能力だけは鍛え込んだ男。
それが何の為と言ったら、こういった場を設ける為である。仲良くなりたい。はあはあ。
何で興奮しているのだ。落ち着け。最近落ち着きが足りない。しょうがないね。
「う~ん」
白露が秘書艦の椅子に座って、考え込んでいる姿。良いね。良いよ。
何が良いって、知的な感じが完全に似合ってないのが良い。
そうしてギャップを押さえつつも、真剣に考える熱意が尊いのだ。萌える。
…ここだ。布石を打て。勝利への道筋を想像しろ。
今、考える彼女の心には隙が出来ている。上手くつくのだ。
案外世話焼きな気質を考えろ。的確に言葉を打ちこめ。
常に最強の自分を想像しろ。弱気は窮地を呼び、恐れは敗北を生む。
考えろ。考えろ。考えろ!!
「疲労も抜けていない。すまないが、仮眠を摂りたいのだが」
「あ、うん。あたしはどうしよっか」
困った笑みで俺を見ている。いじわるしたくなる顔だ。ふっふっふ。
ここで直接膝枕を求めるのは愚策である。俺も恥ずかしいし、ちょっと無理。
…響。俺に力を貸してくれ。勇気を出させてくれ。
賭けに出るぞ。白露の性格を考えろ。一番艦として、責任感ある長女であるのだ。
そうしてもっと考えろ。姉妹艦が、他の日に担当するのは決まっている。ならこうだ。
「好きに過ごしても良いぞ。他の姉妹艦も休日だろう。遊びに出ても良い」
「今日、あたしは秘書艦なんですけど」
ふてくされたように、口をとがらせていた。ちゅーしたい。
エロい気持ちとかはない。なんて言えないけども。ちゅーはギリセーフ。欧米なら挨拶だからね。しょうがないね。でも響にキスをしたらヤバい気持ちになると思う。
白露は…あ、うん。冷静に考えればちゅーは無理だ。はあはあ。
落ち着くんだ。
そうだ。白露は仕事を投げだそうとはしないだろう。
彼女の性格は知っている。ここで逃走は許せない心なのだ。
だからといって、このままでは膝枕には繋がるまいよ。このままでは、な。
「ふむ…とはいえどうにもな。すまないが横にならせて貰う」
訝しがる彼女を気にせず、ソファーで横になった。
…そういえば、先程は白露が座っていたんだ。思わず匂いを意識するけど、特段香りは感じない。うむ。変態かもしれない。
「自室で寝ないの?」
心配した声。来た。来たぞ読み通りに来たぞ。彼女の優しさならそう来るだろう。
あえて、寝づらそうに身じろぎしつつ。静かに言葉を返す。
「誰かが尋ねてくる可能性も、零ではない。気配が来れば起きられるからな」
「ふうん」
何度か寝返りを無理に打って、更に寝づらいアピールをする。
ぶっちゃけ、前線で散々な寝方をしているし。睡眠に関しては、割と融通の利く性格になっている。眠れるだけマシである。
それに加えて、慢性的な不眠症でもあるからな。わっはっは。笑ってしまう。
「でも、ソファーだと首が痛くない?」
ふふふ。こうまで予想通りだと、自分の思考能力が怖くなってくるぜ。
来い。誘い込まれてくるんだ。もう少しで罠にかかる…!
「仕方あるまい。普段使いの枕では、ソファーに上手く置けないんだ」
これは本当である。大きいサイズの枕が好きなせいで、ソファーに置けない。
「…にひひ、膝枕でもする?」
来た!!