将棋の盤面が進んでいく。お互いの実力は近く。先程まで、響が加減をしていたのではと思うほど、彼女は徹底的に攻め続ける。
良いね。脳みそが喜んでいる。戦いは嫌いじゃない。
苛烈な攻めの一手。王将を詰むための動き。不死鳥の在り方とは真逆だが、不思議と彼女らしい手筋だ。
ところで話は変わるが、責め続けると言葉を変えたなら、最高にエロいよね。いや、だからどうと言うわけでもないけど。
想像してほしい。
『司令。ここが弱いんだ?』
っていじわるな微笑のまま、ねえ。その、ねえ!!
ふう……ん? 目の前の彼女が、瞳を閉じて考え込んでいる。
それは良い。難しい局面だ。思案する姿も美しい。思案する姿に事案が起こりそうだ。そうでなく。余程考え込んでいるのかもしれんが。
脚の注意が緩んで、開き、ついに、俺が、もとめた世界が。見え。
ま、待て待て。目を逸らすのだ。それはダメだ。ね。もっと状況があるだろう。
うんうんそうだ。パンツは見たい。でも俺にも誇りが。
どくん! と己の心臓が音を立てた。嘘をつくなと。本音が湧き出てくる。
…じゃあ、じゃあいつ見るんだよ!! 今じゃなきゃだめなんだ!!
今朝、今朝方に決意したんじゃないか!! 俺はこれからだって。運命なんかに負けないって。戦い続けるんだって…!!
なのに。なのに俺は目を逸らすのか!? 違うだろう。そうじゃねえだろう!!
見ろ。見るんだ。見ろ、……見ろおお!!
「ぁ」響には届かなかったであろう吐息。感動は脳を浸して。
――それは下着と呼ぶには、あまりにも神々しかった。
美しく。
純白。
エロく。
そしてシンプルだった。
それはまさに聖域だった。
ドラゴン殺しならぬドウテイ殺し。飾り気なき純白のおパンティ。
シミ一つない。穢れなき聖布。いや。セイなる布。や、やばい。
目を逸らさない。焼き付けるんだ。忘れない。再び転生しようと、運命が巡り絶望が訪れようとも。心に刻め。見ろ。見るんだ。
真っ白なパンティ。僅かにくいこんだソレは、彼女のスジをくっきりと示して。
匂い立つ女の香りはない。清楚な雰囲気。ただただ秘所を隠し。穢れなき乙女の秘密を守る布が、堪らなく俺の心に刻まれていく。
そ、そうか。そうだな…あれは響のパンツなんだ。
今俺は、大切な相棒の下着を見てるんだ。響の、パンツを。
愚息が張り詰めていく。血が奪われて、脳に思考が回らん。
だしたらまずい。出すなよ。絶対に出すなよ。ふう。落ち着け。落ち着くのだあ。
耐えろ。耐えるんだ。命令権も獲得出来てこその俺であろう。俺を舐めるなよ!
何度窮地を味わったと思う。何度も絶望に苛まれてきた。地獄を見てきたぞ。
幾千幾万も戦い続けてきた。狂った様に勝利を追求してきたんだ。
最果てにて。軍神、とさえ民草に謳われた伝説の提督として、ここは譲れない!!
「参りました」
圧倒的大差で敗北した。ソロモンの悪夢である。ソウロウもんの悪夢である。
で、でもパンツは瞳に刻んだから。響の水平線に勝利を刻んだから。戦略的には大勝利だから。うん。そういうことだ。仕方ない。
「司令。約束の報酬をもらおうか」
俺にパンツを見られたと知らぬ彼女は、にこにこと笑っている。可愛い。
でも、こんな無邪気に笑う響もパンツを見られてたんだよな。興奮してきた。
「今夜で良いか?」
あ、この台詞なんかエロい。でも全然エロい事しない。不思議。いや考えろ。
三大欲求の一つを互いに解消し合う。見方を変えればこれもまた、股…おっと、倫理委員会に消されてしまう。仕方ないね。
「時間を空けるよりは、早い方が良いね。うん。そうしよう」
もう日が落ち始めている。早めの昼食をとってから、一食も食べていない。
将棋の負担がお腹を空かせて、二人で同時に音が鳴った。
彼女が仄かに照れながら、静かに慣れ親しんだ声で言う。
「ほら行くよ。のんびりとした日常を、共に続けていこうじゃないか」
響の小さくすべすべとした手に引かれて、俺が執務室から出て行く。
うん。めっちゃ柔らかく小さな手で、最高の手心地なのだけれど。その言葉って、なんか最終回みたいだね!
そうして、手を引かれながら。日常へと進んでいく。さあ。
この平穏な日々を楽しもうか!