あんまりなあたしの言葉に。
「だろうな」
まったく表情を変えないまま、提督が返答した。…雰囲気が落ち込んでる。
こうしてよく見ると、感情豊かな人だと分かった。表情に出ないのは、それだけ抑制してきた証拠だ。
裏を返せば。最前線での経験は、心豊かではしゃげる人が、歯を食いしばって耐えるほどの地獄だった証拠。
ううん。変に気遣うのも可笑しい。
あたしは素直な心で接しよう。うん。それが一番良い。
「ん~、私はまあ。もう色々と認識が壊れて、ぶっ飛んじゃったけど」
これも本音だから。なのにまったく。ぱあっと明るい雰囲気で持ち直されると、結構照れくさいんだけど。…嬉しい。かな。
なんだかなあ。もっと笑えば良いのにさ。変に格好つけちゃって。それが怖いし。
「他の皆はね。やっぱり怖がってる」
あっ。沈んだ。雰囲気が暗くなってる。これだ。
この暗い雰囲気とか、常時発してる威圧とか。皆を遠ざけてる原因の一つ。激務もそうだったけど、今はどうなってるんだろ?
「手を打つ必要があるか」
…しかもこれ。絶対、変に入れ込んで泣かせるよ。洒落になってないもん。
顔も怖いし考えもちょっと危ない。う~ん。素直さは良いのに、発想がなあ。
「酷いことは」
釘を刺してみれば。
「すると思うのか」
「ご、ごめん」
本人気付いていないけど、かなり落ち込んで威圧してきた。逆に怖い。
表情に出てないのに、涙目にしちゃったみたい。もうしわけなくて困る。
「いや許さない」
拗ねてた。なんか可愛い。時雨も怒るとこうなるんだよね。
つ~んと拗ねて、それでも相手の様子を窺って。あたしも変になってるのかな?
妙に子供っぽく見えて、提督が大きな弟分に感じる。ふふふ。
「えっと、その」
困った風にしてみれば。
「許して欲しければ、俺ともっと話をしてくれ。皆の日常が知りたい」
声に感情を乗せてないのに、慌ててるのが雰囲気に出てる。
泣かせたくない。やりすぎた。そんな動揺が見えてた。可愛い。
「…顔怖いから、冗談に聞こえないんだけど」
これは本当。さすがに慣れてきたけど、その振る舞いは危ない。
他の子達だったら泣いてた。自覚はあるみたいだけど、まだ甘い。
「泣くぞ。良いのか、泣きわめくぞ」
「意味が分からなくて怖いから!」
もう泣き出しそうじゃない。ああ、まったく。可愛い子だ。
艦船としての年齢も考えれば、提督は遙かに年下で。
それに気質を見たら、妙に子供っぽい。ふふふ。白露型の長女だからね。
「もう。しょうがないな。あたしがいっちばん詳しくお話をしてあげる」