いちゃいちゃ大好き提督日常   作:ぶちぶち

66 / 322
笑顔です

「わ、笑うな。怒るぞ」

 意識的に提督が威圧感を強める。謎の異能。そうやって圧を高められるなら、弱めるのも工夫すれば良いのに。そうしたら駆逐艦の他の子達だって、もっと近づきやすいんだよ。

 

 いつの間にここまで慣れたんだろ。全然怖くないや。

 涙目で怒ってる子供みたい。かなり失礼な感想だけどさ。可愛く思っちゃう。

 抱きしめたら…怒るよね。恥ずかしさも若干ある。提督を子供扱いするには、お互いの体が大きいし、その。ねえ。男女だもの。精々体の大きい弟。

 

 きっとそんな扱いも、提督からしたら困るのかな。どうだろ。

「ああ、落ち込んじゃった。ごめんね?」

 謝ったら雰囲気が和らいだ。素直だなあ。拗ねた夕立にも似てる。

 

 夕立の幼さと、時雨の感じも合わさってる。他の妹とは似てないけど。ふふふ。それが提督らしさ。可愛いなあ。

「ほらほら。いっぱいお話しようよ。姉妹のことはあたしがいっちばん知ってるから」

 ニコニコと笑ってじ~っと見てたら。

 

「俺は白露の事も知りたいんだが」

 ぽつりと言葉が返ってきた。

「あたし?」

 白露型駆逐艦・一番艦の白露として。なんて無粋すぎるよね。

 

 あたしが過ごしてきた日常を聞きたい。真っ直ぐな眼差しは、戦争の臭いなんて求めてないよ。暖かい日々を知りたがってる。

 日比生。日々を生きる。名字の通りな気性。でも軍神としても語られてる。ううん。

 

 いや。あたしが考え込んでも仕方ない。どう語ろうかな。

「白露を知りたい。教えてはくれないか」

「うん。う~ん」

 期待されると困っちゃう。あたしは妹達と違って、愛らしさに欠けるというか。

 

 春雨みたく女の子してないし、夕立みたく無邪気でもない。時雨の儚さはなくて、村雨みたいな美もないや。海風は家庭的で、逆に山風は甘えん坊の愛らしさ。

 江風は元気いっぱいで、五月雨はがんばり屋さん。涼風は勢いが強いわんぱくな子。

 でもあたしがいっちばんだけどね! ふっふっふ。ふう。ど、どうしよう。

 

 思ってみれば、語る事がないや。いきなり一番とか変だよ。ううむ。

「好きな食べ物は何だ?」

「おいしいの!」

 良かった。素直な答えを返せた。これで提督も優しい微笑みで。

 

「ふふっ」

 ――そんなに愛しそうに笑うんだ。わあ、すごい。あたしにじゃない。艦娘に対する、絶対的な信仰すら感じる。

 定年後に報われた人? 変なイメージだけど。とても報われた笑みだった。

 

 もう一回見たい。どうすれば良いかな。そうだ。

「あ、提督笑った! なによもう。そんなにおかしいの?」

 怒ったふりをすれば。

 

「ははは!」

 薄ら涙すら浮かべて笑ってくれた。堪らない笑顔。良い笑顔してるじゃんか。

 ああ、もう。可愛いなあ。弟がいたなら、こんな感じだったのかな。ふふ。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。