いちゃいちゃ大好き提督日常   作:ぶちぶち

76 / 322
策略なしです

「提督。お邪魔するよ」

 白露型駆逐艦2番艦・時雨であった。

「今日はよろしくお願いする」

「此方こそ。迷惑をかけないようにがんばるね」

 

 三つ編みおさげの黒髪美少女。ぴょんと二つはねている黒髪は、どこか犬の耳みたいで愛らしさもあり。まずこの時点で最高だ。

 優しく儚げな水色の瞳。仄かな微笑み。美しく柔らかな顔立ち。今にも消えそうな弱々しさ。それでいて芯を感じる佇まいが良い。麗しい。

 

 降り始め、掴まえる間もない雨の如く。するやかに通り抜ける儚さが、手の届かない美しさを感じさせる。

 ――はああ。良い。尊い。何がって? これ言葉に出来ないタイプの心。

 

 きゅんきゅんとはちょっと違うんだよ。切なさ。もどかしさ。どこかネガティブなのに、美しいと思う心。

 感動。もっと大げさに言えば、吐息が零れる程の情動。

 時雨の在り方は美しい。愛らしさだけでは決してない。

 

 白露の様になじみ易さはない。長女力もない。

 触れても良いのか。共に在れないのでは、と思う悲哀の心こそ、彼女の魅力であるのだろう。それでいてさみしがり屋な面もある…らしい。白露情報だ。

 最高かよ。最高だよ。

 

 白露のようにボインでもない。うむ。でも響よりは。うむ。殺されたくない…!

『司令官は私の事が嫌いなんだ…!』 

 ガチ泣きとか、ガチへこみはもっと嫌なので。あんまりこういうのは駄目かもなあ。

 

 本人に言わなければ伝わらない筈なのに、どうして俺は心まで考慮しているのやら。でも、まかり間違っても勘違いされては困る。

 龍驤みたくな。もっと気楽に振る舞いたい。

 

 おふざけはともかく、好きは好きだ。勘違いして欲しくない。

 さあてさて。どうしようこうしよう。そうしよう。何がやねん。みたいな。

 特に今回は何も考えていない。時雨にどうこうしてほしい。なんて欲求は…もちろんあるけどな!

 

 時雨の魅力は色々ある。もちろん、他の艦娘も魅力的だ。

 その上であえて断言しよう。俺は時雨に――めっちゃ甘えてほしい!

 ああ気持ち悪いさ! 俺は変態さ!! でもなあ。好きなんだよ。大好きなんだ。

 

 で、色々と考えた。策略を張り巡らそうとした。しかし――何の成果も得られませんでした!! しょうがないね。開き直って無策であった。

 

 基本コンセプトは川内と変わらない。頭を撫でる。それは正しい。

 ただコレは、時雨が望まないと意味がない。

 褒められるというのはそうだろう。認められる。結果として、頭を撫でられる。俺も嬉しい。完璧だ。想像出来ない点を抜かせばだがね!


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。